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宣戦布告

更新してみます。


お越しくださる方に楽しんでいただけるように・・・


楽しい話にしたかったのに、どうにも上手くいかないものですね。





仕上がってみると・・・多分、本誌に対する私の願望も含まれた話になってしまいました。

なりふり構わず、あの場でキョコをかっさらって欲しかったんだ。

だからってそんな話にはなってないですが・・・w









「京子ちゃん。俺と付き合ってよ」
「・・・はい?」

人通りも多くない通用口で、突然こう言ってきたのは以前共演したことのある俳優さん。
その意味を測りかねて、思いっきり怪訝な顔で聞き返してしまった。

「だから、俺の彼女になってよ」
「ど、どうしてですか?」
「ん?君の変身後が忘れられなくてさ」

変身後、というのは、メイクも衣装もばっちり施されて撮影に臨んだ私のこと。
まったく・・・あんなのはマジシャンばりのプロから魔法をかけられたまやかしなのに。
ニコリと、今出来得る最上級の笑顔をもってハッキリと申し上げよう。

「ゴメンナサイ」
「なんで?」

これ以上ないくらい分かりやすく断ったはずなのに、心底不思議そうな顔で、人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべその理由を聞いてくる。
そう、分かってた。この業界、自分に自信がないとやっていけないものね。だからって「断られる訳がない」という前提で来ないで欲しい。

「事務所の方針なんです」
「そんなの、隠れてやってればバレないって」

君みたいな新人、事務所もそこまで管理してないでしょ。とまで付け加えて、なおも言い寄ってくる。
嘘のつき慣れていない私は、二の句が上手い事出てくれずに詰まってしまった。

「あ、もしかして彼氏いるとか?俺よりいい男?」

私がどうやって断ろうかと考えあぐねていると、更に調子に乗って強く出てきた。
だから、「俺が一番イイ男」っていう態度は止めて欲しい。
どうしよう、どうやって穏便に断ろう。

「あの・・・」
「俺が、この子の恋人だけど?」

ふいに後ろから甘く響く声が聞こえたかと思うと、私の体は声の主の力強い腕に閉じ込められていた。

「つ・・・!?」
「つ、つるが、れん・・・さん?」

私の驚きもそうだけど、目の前の俳優さんの驚きも相当なものだったようで、今までのおしゃべりが嘘のように口をパクパクさせている。
それはそうだろう。
正真正銘『芸能界一イイ男』がこうして現れたんだから。

「悪いけど、俺の大切な女性にちょっかいを出すのは止めてもらえるかな」

言葉は丁寧で優しいのに、底冷えするような凄みが感じられる。
敦賀さん・・・怒ってる・・・?

「は、はい!それはもう、ちょっと世間話してただけなんで、失礼します!」

そう言うと俳優さんは、怯えるように一目散に走り去ってしまった。
私からは敦賀さんのお顔は拝見出来ないけど・・・大魔王が降臨されてたりして。

「あ、あの・・・敦賀さん・・・」

こ、怖い・・・私の不手際が敦賀さんの逆鱗に触れたのかしら。

「はぁぁぁ~~~・・・」

心底疲れたような溜息を零す敦賀さん。
やっぱり「君は隙がありすぎる」とか「無防備だ」とか「自業自得だ」とか言われて呆れられる!?
ビクビクと震えながら、敦賀さんからのお叱りに備えていたのだけど、いつまでたってもその切れ味良い刃物は襲ってこない。
かと思うと、そっと体を離されて正面を向かされた。
今日初めて見る敦賀さんの、切なげな光彩に思わず息が止まる。

「最上さん。ああいう時はハッキリ迷惑だと言わないと」

心配、してくれた・・・?
そうよね、だから助けてくれたのよね・・・。
先輩の手を煩わせてしまったことに、改めて申し訳なくなってくる。

「すみません・・・。いつもは事務所を理由にすると引き下がってくれる人が多かったんですけど・・・」
「・・・いつも?」

小さくなりながらもおずおずと告げると、どういう訳か敦賀さんはキュラリと眩い紳士スマイルを湛えていた。

「も・・・申し訳ございませんでした!本来ならば私一人で解決すべき問題ですのに、大先輩であらせられます敦賀さんのお手を煩わせてしまうこの不始末!どう償えば良いか・・・」
「じゃあこうしよう」
「え?」

とにかく敦賀さんの怒りを鎮めようと、心からの謝罪を尽くしていると、それを遮るように敦賀さんが提案してきた。

「今度他の男に言い寄られたら、俺が恋人だって言って良いから」

それはとても首を縦に振るわけにはいかないものだった。

「んなにを仰いますか!?万一それが広まりでもしたら、取り返しのつかない不名誉を敦賀さんが被ることに・・・!」
「だってそうすれば、君を口説こうなんて輩いなくなるだろう?」
「そ、それはそうですけど・・・って違います!私のせいで敦賀さんにそんなご迷惑かけられません!」

これまで浮いた話のない敦賀さんに、そんな汚点を残すわけにはいかないと、必死に説得を試みる私。

「まぁ・・・最上さんは嘘が苦手のようだし・・・」
「そうなんです!私、嘘が下手なので、仮に『敦賀さんが恋人』だなんて言っても誰も信じてくれませんよ」
これでこの話は無かったことに、と安堵していた私を、いとも容易く突き落とすのはこの人だった。



「大丈夫。その嘘を真実にすれば良いだけだから」



綺麗に微笑んで、アッサリと爆弾を投下した敦賀さん。

何が嘘で、何が真実?


「え?・・・えぇ!?待っ・・・」
「何?他の男にはさせといて、俺には口説くこともさせてもらえないの?」
「そういうことじゃなくて・・・」
「じゃあ、俺はそろそろ行くから。またね」
「あ・・・」


颯爽と身を翻して去っていく敦賀さんを、私は動けずに見送ることしか出来なかった。



後日、敦賀さんの宣戦布告は、言葉通り完遂されることになる。





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