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毒は密やかに巡る

ACT.172続き妄想してみました。
(せっかく本誌派になったので)


すでに色んなサイト様で続きがUPされてますので、やっぱり今さら感は否めないのですが・・・遅配地域のラグってことで許してください。


あくまで「続き妄想」なので、この程度で。








怒らせたいわけじゃない。

ただ、素のままの私で、このままの距離で、いつまでもお話出来たら。

そう思って。


「それってつまり、敦賀さん・・・私をどうにかしたいって言ってます?」


常にない切り返しで、敦賀さんがどう反応してくれるのかを知りたかった。

諭すように嗜められるか、呆れられるか。

そうして笑って冗談にしてくれれば良いと思った。

この気持ちごと、笑って流せれば―――――――――――――



私のあまりに似合わない台詞のせいか、数秒刻が止まったように敦賀さんは動かなくなってしまった。

「敦賀さん・・・?」

黙ってしまった私を敦賀さんが呼んだように、私も倣って呼ぶ。首を傾げ、愉快そうに・・・その名を口にするのに、一欠けらの愛情も込めないように。
でも、それが合図になったらしい。
私の前に座る人は、クツリと口の端を上げ、瞳に宿す闇色を一層深め・・・身に纏う色香を惜しげもなく振りまくオトコノヒトになっていた。

「・・・最上さんは、何て言って欲しいの?」

うっとりするような低く痺れる声音で、何者をも捉えて離さない魅力を携える。
それはもう魔力と言って良いかもしれない。

「・・・っ、聞いてるのは、私なんですけど?」

でも、その魔力に屈する訳にはいかない私は、精一杯の虚勢を張るしかなかった。
声が、手が、震えてはいなかっただろうか。

望んだはずの喧騒は、この場ではなく、自分の中でだけ巻き起こっているようで、心臓の音がやけに煩く聞こえる。
鼓動の音が聴覚を支配して、周りの雑踏が何も聞こえない。

何も・・・聞きたくないから?

防衛本能というやつだったのかもしれない。
ただ、ちっぽけな私のそんな壁なんて、この人はいとも容易く乗り越えて強制的に言葉を送り込んでくる。

「女性の望みに応えるのも、男のツトメだろう?」

至極当然と言わんばかりの、慣れた対応。
ああ、やっぱり聞くんじゃなかった。
私らしくない会話は、私ではない女性との逢瀬を垣間見せてくれるのに十分で、水面が遥か頭上に感じられるような、静謐の昏さに包まれる。
女性との駆け引きめいた、色のある会話。

こんな敦賀さんを、私は知らない。

途端に、全身の血が一気に抜けていくような、そんな喪失感に寒くなって、私は自分を抱き締めた。

「最上さ・・・」

敦賀さんが何か言おうと口を開いたその時。
少し離れた場所からスタッフだろう男性が駆けてきて、ようやくインタビューに呼ばれる。
その声に、私は知らず安堵していたようで、ほぅっと溜息が一つ自然と零れた。
今行きます、と、なんとか返事は出来たものの、全身が自分のものでないようなぎこちなさに、立ち上がるのも一呼吸必要だった。

「最上さん」
「は・・・ぃ・・・?」

何とか椅子から立ちあがった瞬間、私の努力を嘲笑うように、座っている敦賀さんから後ろに引っ張られ、そのまま崩れてしまった。
倒れ込んだ先は温かい敦賀さんの胸の中で。
ドキリとする感情を抑え込んで、抗議の声を上げようと敦賀さんを見上げたら、綺麗に嗤ってその口元を私の肩に寄せる。
一切の拒否も出来ぬままに、そのままキスを落とされていた。
熱く柔らかな濡れた感触と、目に飛び込んでくるあり得ない現実に、ゾクリと背中を何かが這い上がる。

きっと私は、声にならない叫びと、表現しがたい顔をしていたに違いない。

そして耳元を擽るように、吐息と一緒に囁かれる。

「貴島君は、ここ以外・・・君の肌のどこに触れたの?」
「な・・・な・・・」
「流石に腰はこの場ではやめておくから・・・また後で」

そう言って、優雅な動作で立ち上がる敦賀さんは普段と何も変わらなかった。
立ち上がれない私に差し伸べられる手を、素直に受け取る勇気が私にはまだない。
すると、私の心情を知ってか知らずか・・・いえ、知っていてもお構いなしに、抗えない力で立たされ、インタビューの場へエスコートされる。

「あんな泣きそうな顔で、カメラの前には出せないからね」

顔はしっかり前を向いたまま、狼狽える私の方がオカシイのかと思うほど、敦賀さんは優しく説いてくれた。

「慰めようと寄ってくる虫を、これ以上増やす気はないんだ」



これは私が自ら招いた結果なのだろう。

天災のような彼は、その圧倒的な破壊力によって、掛け直した鍵に留まらず、箱の蓋もろとも粉々に砕いてしまった。


きっと残っているのは、甘い絶望だけなのに――――――――――





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