時に狩りと花束を 3


微妙に長くなりそうだったので途中で切りました。

次で終わるはず。








その日は何かがおかしかった。


いつも通り、キョーコと一緒に森へ来た。
数種類のキノコを採れば終わりという簡単な依頼内容。
一見すれば俺たちに依頼せずとも良さそうなものだけど、モンスターひしめくこの森は何の心得もない人間からすれば充分に恐ろしい場所に他ならない。
いくらかの金でリスクが回避出来るならそれに越したことはない。
それにしても・・・。

「敦賀さん?どうされました?」
「あぁ・・・いや、やけに静かだなと思って」
「そういえば・・・そうですね」

いつも騒がしいくらいの森の気配が、今日は全くと言って良い程なかった。
小さな動物の息遣い一つ感じられない。
ザワリと、風にざわめく葉の擦れる音だけが、やけに響いていた。
首の後ろを引っ張られるような、不快な警告音がどこかで鳴る。第六感というやつかもしれない。そしてそれは、大抵当たる。

「今日はもう中止しようか。依頼主には俺から謝って・・・」
「いいえ!敦賀さんの輝かしい歴史に汚点を残すことはありません!今日はキノコ集めだけですし、私が一人で集めてきますから、敦賀さんはここで待っててください」
「えっ、あ・・・キョーコ!?」

俺の言葉を遮るように、不自然なくらい元気良くキョーコは駆けだして行った。
あっという間に木々の間へ消えていったキョーコを追い掛ける術はなく、俺は一人で取り残された形になった。
採集に関してはキョーコの方が詳しい。なるべく短時間でこの場所を離れるには、むやみに探すより待っていた方が良いかとも考えたが、弾きだした答えは否だった。
もし、道中に何かあったら?
もし、対処の出来ない敵が現れたら?
もし、キョーコが傷つこうものなら・・・
俺は後悔で死にたくなる。

「こっちだったか・・・?」

急いでキョーコの後を追うが、俺は自分の判断の遅さに舌打ちをしていた。


――――――――――――――――


なんだかいつもと違うのは分かってた。
妙な胸騒ぎがするのも・・・。
だけど、敦賀さんから「中止に」と言われた時、私の体は知らず動いていた。
だってきっと、敦賀さん一人なら帰るだなんて選択肢なかったはずだから。

「足手まといには・・・なりたくないんです・・・!」

私に力がないから、私の事を考えてくれた上での決断だって分かった。
普段だって気付かないように私を庇ってくれてるのに。
これ以上何を望むの?

役に立ちたい。
必要とされたい。

ただその一心が、私の足を動かしていた。

「あれ、なんだろう?」

少し向こうの開けた場所に、大きな黒い塊が見えた。
確認のために近づいて、私はその光景に立ちすくむ。

「鳥獣種の・・・亡骸?」

一際大きなその体は無残にも地面に縫い付けられ、闘った跡なのか痛々しい傷が見て取れる。溢れた血は、黒く固まっていた。
大きな嘴は割れ、物言わぬ死骸となったその眼は虚空を映している。
ゾクリと寒気がした。
危険だと、体中で感じていたはずなのに、上空からの翼音に気付いたのは、随分ソレが目前に迫ってからだった。


ガアアアアアアアアアアアアアアア・・・・・!!


バサリと翼を大きく振り、地面へ抵抗なく着地する。直後に叫ぶ咆哮は耳を劈く程の轟音で、私は震える体を崩さないことで精いっぱいだった。
紅黒の躰には強靭な鱗、鋭い爪には、眼前で力尽きた鳥獣種のものと思われる血の跡がこびりついている。縦に細長い瞳孔をこちらに向け、残忍な様子そのままに尻尾を一振りし威嚇してきた。

「なんで・・・火竜が・・・こんなところに・・・」

逃げなきゃ、殺される。
頭では大音量で「逃げろ」と叫ぶ私がいるのに、体がまったく言う事を聞かない。
火竜はその獰猛な牙をゆっくり開けて、確実に仕留めようと私に狙いを定める。

敦賀さん、ごめんなさい。

こんな時に思い出すのは、私を絶望の淵から救ってくれた優しいあの人。
せめて、逃げてくださいと伝えたいのにそれも叶わない。


最期までお役に立てなくてごめんなさい。



こんなことなら「すき」って言っておけば良かった。



スポンサーサイト

コメント

No title

スキビとモン○ンの夢のコラボ…!
私もモン○ン持ってましてこのコラボを見た瞬間身体中が沸騰するかのように悶えてました!
れんさんにはユクモ装備が似合いそう…続きをニマニマしながら待ってます!(´∀`)ノシ

Re: No title

トア様

初めまして!
コメントありがとうございます^^
まさかのモン○ンパロに反応頂くとはv
蓮にユクモ装備!確かに似合いそうです!
だいたいフル装備すると顔も隠れますけど、ユクモならそこそこ露出してますものね。
需要もないと思ってコッソリ下げようともしてたんですが、こうしてお声を頂くとちゃんと最後までしないとと思いますね。
続きも形に出来るよう頑張ります!

Re: 楽しかったです

くみ様

初めまして!珠々と申します。
こんな辺境の地へようこそお越しくださいました。

> 惣也さん→きゅ。さん→珠々さんにたどりついたのですが、出逢えて良かった(泣)

(私も大好きな)素敵マスター様を経由されたとのこと、数多くのスキビサイト様の中でも巡り合えたのは何かのご縁ですねv
出逢えて良かっただなんて……過分なまでのお褒めのお言葉に私の方が泣きそうです!
嬉しいなぁ嬉しいなぁ。

くみ様もお子さんが3名いらっしゃるんですね。
毎日戦争ですよね、わかりますw
拙宅が少しでも家事の合間の息抜きになったのでしたら幸いです。

途中になっている更新も頑張って最後まで仕上げるつもりですので、長い目でお待ち頂ければ~(平謝下)

ではでは、またお気軽にお立ち寄りくださいませ!

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)