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天秤の杞憂 後編

どんだけ伸ばした蓮誕という感じですが、ようやく区切りがつきました。

すいません、体調不良と休日出勤で遅くなってしまって。

なんだ休日出勤って。



とりあえず、ハピバ!








ビックリした。
だって、敦賀さんがあんな事言うなんて思わなかったから・・・。


ラブミー部の仕事の合間に、少しだけなら会えるかもしれないと約束の場所へ足を運ぶ。
今でも信じられないけど、「あの」敦賀さんとお付き合いをさせて頂くようになって久しぶりの対面になるはずだった。
そこには、既に敦賀さんがいらっしゃったけど・・・声をかけることを躊躇ってしまうような表情と雰囲気に飲まれ、一瞬立ちすくんでしまう。

敦賀さん・・・?
どうされたんですか・・・?

反対側から社さんがコーヒーを持って、正に私が思ったことを聞いてくれた。
私は咄嗟に物陰に隠れてしまい、出るに出られず敦賀さんと社さんの会話に聞き耳を立てる。
盗み聞きみたいだけど・・・敦賀さんの落ち込んでる原因が分かれば、私でも力になれるかもしれないし!



2人が行ってしまってからも、私はその場から動くことが出来なかった。
魂が抜けたようにじっと蹲っていたから、見る人が見れば死んでるようだったかもしれない。
・・・思いがけず、敦賀さんの本音を聞いてしまった。
最初の言葉には地の底に叩きつけられそうだったけど・・・。
でも。
その理由を。
痛い程愛しい、溢れそうな熱を孕んだ心を知って。
泣きそうだった。

どうすれば私の気持ちが伝わりますか?
きっと敦賀さんに負けないくらい私だって・・・想ってるのに・・・

敦賀さんは私のためを思って歩みを合わせてくれようとしてる。
だったら、私だって・・・それに甘えてばかりじゃいけない。

ぬくぬくと与えられる温もりだけに縋って、弱い存在ではいたくない。
どうか・・・勇気をください。


―――――――――――――――――


「敦賀さん、改めましてお誕生日おめでとうございます。これ、お気に召すか分からないんですが・・・」

今日は敦賀さんの誕生日。食事も一通り済み、しばらく談笑した所で、並んでソファに座りプレゼントを渡す。

「ありがとう・・・今度は開けても良い?」

敦賀さんは心底嬉しそうに、そして可笑しそうに開封の許可を求めてきた。そういえば、前回の誕生日プレゼントは恥ずかしいから帰って開けていただくようにお願いしたんだっけ。

「ど、どうぞ・・・」

身を切られるような返答になってしまうのは仕方ないと思う。
恥ずかしいのは今年も変わらず・・・だって、敦賀さんの持ち物すべて私が手を出すには遥か雲の彼方のような代物ばかりで、こんなものを差し上げて喜んでもらえるか自信がなくて・・・。
カサリとした音が響いてラッピングが解かれていくのを直視できない私。
やがて姿を現したソレをしばらく眺めていた敦賀さんは、心地良い声で確認する。

「・・・香水?」

少し紫がかった、涙の形をしたガラスに金のチャームを冠した香水。

「はい・・・。身につけるものが良いなって考えてたんですが、アクセサリーだとお仕事の邪魔になるかもしれないと思って、コレを・・・」

おずおずと答える私の前で、開けられたばかりの香りの滴を躊躇いなく手首に、そして首の後ろに移す。
その仕草がやけに艶めいていて、コトリと香水をテーブルに置く一連の様でさえ、洗練された大人の色気のようなものが漂う。
私は一人で顔を赤くしているような気がした。

「ん。良い香り。・・・なんだか、この香りに包まれて・・・最上さんに独占されてる気分」
「んなっ!?」

また何て恐れ多い事をサラリと仰るんでしょうかこの人は!
私が想像通りの反応だったのか、煌めく笑顔で甘く囁く。

「くすくすっ・・・ありがとう。凄く嬉しいよ」

そう言うと、敦賀さんは私を抱き寄せておでこにキスをしてくれた。

「ど、どういたしまして」

振り回されっぱなしの私は、そう返すのがやっとだった。敦賀さんの腕の中では思考能力が落ちるらしい。
次に感じた熱は瞼の上、そして頬。
次第に痺れ出す体は、何かの毒に侵されているように、良いように翻弄される。
そして。
優しく深いキスが唇へと与えられる。

「ん・・・」

たったこれだけで体中の力が抜けていく。
これに慣れることはあるんだろうかと遠くでぼんやり思っていると、敦賀さんの唇が離され、抱き締められていた体も拘束を解かれた。
寂しいと、思ってしまう私。
敦賀さんを見ると、一瞬辛そうな顔をして、すぐに元の綺麗な笑顔に戻った。
次に来る台詞は分かってる。
付き合いだしてから1カ月、熱いキスは帰宅の合図になっていた。これ以上一緒にいないよう、追い出されるように。
それがどうしてなのか、ようやく分かったから。
だから今日は先手を打つの。

「・・・敦賀さん。1日の終わりっていつだと思いますか?」
「え?」

唐突過ぎる脈絡のない話に、少し驚いたものの落ち着いて答えてくれる優しい人。

「時計が0時を指した頃、じゃないかな?」

当然の答えだったけど、今日だけは違うと思って欲しいから。

「私は、起きている間はずっと1日が続くと思うんです」

深呼吸を一つして、少し震える体を誤魔化す。

「今日は、敦賀さんのお誕生日なんですから・・・寝るまで、一緒にお祝いしたいんです」

それはつまり、今日は帰りませんという宣言だったんだけど。
無表情の敦賀さんが怖すぎて、やっぱり言うんじゃなかったと思いかけたその時。

「・・・・・・・・・いいの?」

ポツリと、少し掠れた敦賀さんの声。今度は私が敦賀さんの頬をとって、目を合わせて伝える。

「私は、今まで敦賀さんに色んなものを頂いてきました。足りないかもしれませんが・・・こんな私でよければ貰っていただけませんか?」

言葉じゃ伝えきれないこの想いの、ほんの一欠けらでも感じて欲しくて。
精一杯の愛情を込めて、私からそっと唇を重ねる。

ちゅ。

子供のようなキスになっちゃったけど、敦賀さんみたいに上手には出来ないから、すぐに顔を背けて離れようと思ったのに。それを許してもらえずに、苦しい程抱き締められた。

「つ、つるがさん!?ちょ・・・くるし・・・」

私は少しの抗議のしるしに敦賀さんの背中をポンポンと叩いたのだけれど、まるで意に介さないように力も抜いてくれない。仕方なく今度はあやす様に背中をさすっていると、僅かに身じろぎして、ようやく声を聞かせてくれた。

「ありがとう・・・こんな俺でいいの?」

耳元で響く低音がくすぐったくて、やっぱり泣きそうだった。

「それはこちらの台詞です」

私がそう言い終わらないうちに、気付くと体がソファから離れ、ふわりと敦賀さんに抱えられていた。

「わっ!?つるがさ・・・私、重いですから・・・!」

私を抱っこしたままスタスタ歩き出す敦賀さん。敦賀さんの身長からの視界は普段と違いすぎて、思わず首元に腕を回すと、申し訳なさそうな笑い声が降ってきた。

「最上さん、ごめんね」
「へ・・・?」


「俺、余裕ないから・・・先に謝っておこうと思って」


「・・・・・・・・えっ。」



この後向かった先は寝室になるわけなんだけど。



朝起きて、最初にこう言ってあげようと思う。

『他の子に目移りなんてさせませんからね?』





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