頂き物

最近遊びに行かせていただいている

La Vie en rose/真蘭様

開設半年ということで記念にフリー配布されていたものをゲットしました。

お伺いをたてたら快く了承してくださったとても心の広いお方!

カイ→セツ風味で、蓮の秘めてる想いにキュンとなりました。

切なかったりほのぼのしたり、ニヤニヤです。


そんな素敵なお話は続きよりどうぞ!
感想は是非真蘭様宅へ~v





desire


夜中にふと目覚めると、あの自宅マンションでは聞こえる筈のない微かな寝息と、感じる筈もない色濃い気配。

隣のベッドを見遣れば、居る筈のない『あの子』が存在する。




「…………そういえば、今夜は『カインとセツ』だったか…………。」
自分に言い聞かせる様に呟く。

掛けた寝具からは肩や腕が出ていて、薄暗い部屋に白く浮かぶ。『セツ』だからと、『最上さん』であれば、絶対に身に付けない様なナイトウェアーなのか、肩に掛かる細い線しか見受けられない。

「……本当にこの設定は、……どうにかならないかな……。」

理性の限界を既に超えてしまったのか、此処に二人きりで居ると、物騒な事しか思い浮かばない。

……いや、理性は辛うじて保っているのだろうか? 俺の、…………欲望に塗れた薄汚い願望を、現実にしない限りは…………。




『おはよう、兄さん!!』

『おやすみ、兄さん。』

『ちゃんと食べてね!!』

『お酒ばっかり呑まないのっ!!もうっ!!』

『煙草は身体に良くないのよっ!?』

『ちゃんと髪の毛乾かして寝てよねっ!!』




そんなセツの純粋な兄妹愛が心を擽ると同時に、全てを壊してしまいたい衝動に駆られる。

寝る前、浴びる様に呑んだ酒の酔いなど、まるで水しか飲まなかったのではないかと思う程に醒めている。
「あんなにも酒を呑んだところで、殆ど意味がないってのは、どういう事だ……?」
バッカスの呪いでもかかっているのか、呑んでも、呑んでも、精々が少し身体が温かくなるくらい……。お陰で、望んだ深い眠りは訪れる事なく、代わりに浅い眠りが齎すものは、間違いなく自らの願望を形にした『悪夢』。




「……敦賀さん……? 眠れないんですか?」




不意に掛けられた声に、鼓動が跳ねた。




「…………あ……っと、ごめ……ん。起こして……しまったかな?」

『悪夢』を思い起こしていた後ろめたさに、上手く声が出ない。

「大丈夫です。自然に目が醒めてしまっただけなので、気になさらないで下さい。」
薄暗い室内で、その身を起こしてニッコリと微笑む君の姿だけが、はっきりと見える。

「もしかして、寝る前に沢山お酒召し上がってたから……、喉渇きましたか?」
俺の様子がおかしいと気付いているのか、姿はセツなのにも拘わらず、その言動は狂おしい程に愛しい『最上さん』のもの。

ちょっと待ってて下さいね、と、そう言ってベッドから降り立つ君の姿に息を呑む。

「ち…ちょっと、待って!!最上さん待ってっ!!」
ベッドから飛び降りて、クローゼットから真新しいガウンを引っ掴む。ホテルに備え付けてあった物が、何となく気に入らなくて、カインのキャラクターに合わせて、自分で何着か用意した物だ。

「これ、着て? そんな格好じゃ風邪引いちゃうから……。」

ガウンをその小さな体に掛ける。……全く、セツに合う物だからって、あんなに腕やら足やら、露出だらけのナイトウェアーを選ばなくても……。毎日、セツがシャワーを浴びている間に寝具に潜り込んで、蓑虫状態で寝たフリしていたのは正解だった。あんな姿を毎日見てたら、俺はとっくの昔に(……と言う程、此処で過ごした訳ではないが……)彼女を襲ってた。

「あ……有り難うございます……。……だけど、大き過ぎて、……フフフッ、手が出ませんね?」
前合わせを閉め、自分の顔の前で隠れた両手をブラブラさせて苦笑する姿が、また堪らなく可愛くて……。
「……後ろ……、向いてくれる?」
「えっ? あっ、はい……。」
素直に従った最上さんの胸元に、俺の腕を掛けて軽く力を篭めれば、簡単に俺の胸へと倒れ込む。
「つ……つ・…つ…つ・敦賀さん…っ!!??」
慌てふためく最上さんの左腕を取って、その長い袖口を折り込む。終わると右腕も……。

「これで、ちょうど良いよね?」
折れそうに細い腰を抱き寄せ、空いた手を顎に掛け、態と耳元に囁く。
「つ…つ…つ…敦賀さんっ!!近いですっ!!!!近過ぎですっ!!!!何か破廉恥ですっ!!!!」
アワアワと耳まで真っ赤になって、ワタワタと藻掻く最上さんを抱き寄せた腕に、一層の力を篭める。




あぁ、この子だけが欲しい…………。この子だけしか…………要らない。




「敦賀さぁんっ!!!!お水取りに行かせて下さ~いっ!!!!」

ハッと我に返り、力が緩んだその隙に、最上さんが俺の腕から擦り抜けて行った。

「……逃げられたか……。」
いや、勿論、逃げて貰わなきゃ、一番困るのはこの俺で…………。

「結局、首を絞めているのは、俺自身だな。」

温もりが消えた腕と手を見ると、寂しそうに所在無く、そして、やけに冷たく感じた。

「…………先輩として、その尊敬と崇拝を受け続けるくらいなら、いっその事、男として存在を刻み込んで、軽蔑された方がマシだと思えてくるよ…………。」

『俺の存在』を抹消出来ぬ程に刻み込むのは、…………きっと難しくはないから。




「つ…敦賀…さん……っ!?」
掛けられた声に顔を上げれば、まだ朱の残る顔に困った表情を浮かべて、水の入るグラスを持った最上さんが佇む。

「……本当に、大丈夫ですか?」
遠慮がちにそう口にした最上さんの手から、グラスを取って、一息に飲み干す。
「あんまり、大丈夫じゃないかもね。」
言いながら、グラスをサイドボードに置いて、ベッドに潜り込む。そんな俺の言葉に、最上さんの顔色が変わる。
「そ…そんなっ!!!気分が悪いんですかっ!?お疲れなんですかっ!!??また風邪をお召しになりましたかっ!!!???」
ベッドの傍らへと立ち、俺の顔を覗き込んだ最上さんの腕を取ると、そのまま引き寄せ、一瞬の内にベッドへと引き込んだ。




それはもう見事に身体も表情も凍り付いた最上さんを抱き込み、唇が触れ合いそうな距離で囁いた。

「最上さんが添い寝してくれたら、きっとすぐに治るよ……。」

最上さんならば、顔を真っ赤にさせてワタワタするのだろうかと思いきや、突然、真顔になって眉を寄せて睨み付けられた。

「敦賀さん、酔っていらっしゃいますね? もしくは、また、私をからかいましたね?」
地の底から響いて来たかの様な声音と、タレント兼女優とは思えない程の顔に、つい、笑いが漏れた。
「クッ…アハ……ハッ……!!……最上さん……っ!!そ…その顔……っ!!」
抱き込む俺の腕から身を起こすと、さっさとベッドを抜け出して、自分のベッドへと潜り込んでしまった。まるで、カインが寝ているみたいに……。

最上さん蓑虫からは、ブツブツと兄と先輩俳優への不満が聞こえて来る。
「……いくら言っても呑んでばっかりだし、相変わらず食べないし、食べないのは敦賀さんも同じだし、それにしても敦賀さんは私をからかってばっか………ブツブツブツブツブ…………。」

やがて、ブツブツと続く文句が途切れ途切れになっていき、その内に、規則正しく上下する蓑虫の様子と、微かに聞こえる寝息が、最上さんを再び眠りの世界へと誘われた事を俺に知らせた。

「からかっているつもりはないんだけどね…………。」

抱き締めた感触を思い出しながら、そっと目を閉じる。きっとこの続きは、『悪夢』が見せてくれる。




組み敷かれ、欲望に貫かれながら啼く彼女と、気が狂った様に求め続ける俺の姿を…………。




そうして、今日も俺は彼女と、夢の中で一つになる。



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