温もりを手に

初の本誌妄想やってみました。

ACT166です。

や、既に色んなサイト様で披露されてるので今さら感は否めませんが。。

でも、なんというか・・・はい。

短いのですがどうぞ。






もしも。

もしも過去に戻れたら。

俺はいつに戻るだろう。


今日の撮影の前?
子供が飛び出してくるからと、そう分かっていたらこんな状態は避けられただろうか。
約束、したのに・・・。

それとも・・・あの悪夢の日?
自分の一挙手一投足に、どういう運命がかかっているか。
もし分かっていれば・・・違う未来が待っていただろうか。
誰も傷つけず、自由に生きて、自由に恋愛して。
闇に捕まることなく、血の臭いに悩まされることもなく。
俺は、あの場所に、まだいることが出来た?

(―――クオン―――)

屈託なく、そう呼ばれていただろうか。
輝かしい、切望する過去。


いや・・・そんなのはただの幻想だ。
現実には起こったことは消せないし、やり直しも出来ない。
どれほど、消えてしまいたいと思ったか。
それでも全てを無かったことに、なんて・・・もう思えないのは。

「敦賀さん・・・」

君がいてくれるから・・・。
もしも仮に、過去をやり直せたとしても、それはバタフライエフェクトのように広がって、君が俺に笑いかけてくれることも、心配してくれることもなくなるだろう。
そもそも、出会えた事が奇跡なのに。

「敦賀さん・・・?聞こえて、ますか・・・?私の声・・・」

あぁ、最上さん。君は紛れもなく御守りで、その光は惜しみなく放たれ俺を照らしてくれる。こんなにも温かい存在なんだ。

「・・・ん・・・ちゃんと聞こえてるよ・・・」

「本当ですか・・・?私が誰か、分かります・・・?」

不安に揺れた瞳で心配してくれる・・・今は俺のことだけ考えてくれているのかな。そう思うと、じわりと心が満たされる。

「最上キョーコさん。俺の、御守りだろう?」

愛しい気持ちを隠すことなく、安心させるよう笑顔で返す。

「あ・・・良かった・・・・・・本当に・・・」
「ごめん・・・心配かけたね・・・」
「まったくです・・・」

屈んだ姿勢から、更に俯いた最上さんの表情を伺うことは出来ないが、声音からでもほっとしているのが分かる。

「あ、でも!念のため病院には行ってください!」

ガバッと顔を上げて、綺麗な瞳で見つめられる。
可愛い、と思ってしまうのは不謹慎だろうか。

「俺は大丈夫だよ。行く必要はない」
「ダメです!絶対行って検査してください!」

本人が大丈夫だと言っているのに、引き下がる気配もない。こんな時の最上さんは強い。
食事に関しても、何かと気遣ってくれる。ひとえに、俺の身体の為なんだと分かってはいる。
だけど。

「最上さん」
「はい・・・ぃ!?」

ほんの少し力を入れて最上さんの腕を引き寄せる。そうすれば簡単に俺の上に転がってくる軽い痩躯。油断していたんだろう、最上さんはスッカリ固まって動けないでいる。
その体を俺の方に向かせ頬を撫でると、呪縛が解けたようにワナワナと震えだす。

「な・・・な・・・」

そのまま元気な発声が聞けそうだったのでこちらから先制。
そっと最上さんの小さな手を取り、手の甲に軽くキスを落とす。そのまま俺の頬に導き触れさせる。

「じゃあ、最上さんチェックして?俺のカラダ。どこか怪我してないか、オカシイところはないか」

最上さんは一瞬真っ白になってから再起動までに時間がかかるらしい。

「い、今のこの状態がオカシイですぅ~~~!」

涙ながらに訴えかける君が愛しくてしょうがない。
このまま抱き締めてしまうには人の目が多すぎるからね。
耐えた俺を褒めてくれる?

「最上さん」

俺を、呼んでくれて。

「ありがとう」

まだ全て受け止めるには時間がかかるけど。
生まれてから、今この瞬間まで、全部ひっくるめて『俺』だから。
俺自身が、許せるまで。
どうかそれまで、この手を繋いでいて欲しいと、そう願っても良いだろうか。


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