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モシモナふたり 4

こんにちはこんにちは。
バイクでスッ転んだ珠々です。
濡れた路面でツルリといっちゃいましたシクシク

幸いにも大した怪我はなかったんですが、打ち身が凄いことになってはいます。
左半身、主に足の側面が6割打ち身っていう。
もー肩は痛いし、厄年って何歳だったっけってくらいのダメージですが、元気です。

そうそう、先日我が家にPSVRが来ましたよっ。
あれヤバいですね(語彙力)
誇張でもなく、ホントにゲームの世界に入っているような感覚になります。
これは凄い!
ホラーとか絶対出来ない!

と、いうわけで。
間が大分あいてしまいましたが、同居話の続きとなります。
実際の番組をまだちゃんと見れてないので再現率は皆無かと思いますが、ご容赦を……!
では続きよりどうぞー。










「凄い雨ですね……」

バケツをひっくり返したような、とは良く言ったもので、窓や地面に打ち付ける雨は体の芯に響くような轟音。
キョーコは窓の外を覗きながら、激しい雨水で幕が張られ滲んだ夜景を見ていた。

約束通り、仕事終わりに迎えに来てくれた蓮の車に乗り、撮影用の借り住まいに帰宅したのが少し前。
あらかじめ仕込んでおいた夕食は昨日とうって変わって和食で、蓮から秋刀魚を食べたいとリクエストがあったのでグリルで焼いて大根おろしを添える。
「旬なものだから食べたくなってね」と笑う蓮だったが、まるで戦場に赴くような覚悟の顔で箸を動かしていたため、「役作りかしら」とキョーコまで緊張してしまった。
それでも、相変わらず美味しい料理に蓮の表情も和らぎ、日中の仕事の話など会話も弾んで楽しく時間は過ぎていった。
あらかた片付けも終わった所で、キョーコが
外の有り様に気付き、「うわぁ……」と先の発言となったのだった。

「記録的な豪雨みたいだね。良かったよ、酷くなる前に帰り着けて」
「本当にありがとうございます。敦賀さんに乗せて頂かなかったら私今頃濡れ鼠でしたね」
「俺でも役に立てたなら良かったよ。それよりこちらこそ、今日も美味しいご飯をありがとう」
「いえいえそんな……」

礼の応酬が交わされる中、空を一瞬で明るくする光が迸る。

――ピカッ

稲光だった。

キョーコは自然と空に目を向け、おもむろに指を折って口の中で小さく数を数える。

いーち。にー。さーん。しー。……

――ゴロゴロ……

数秒経ってから、雷の音が微かに響いた。

「あ、まだ雷遠いですね」
「最上さん、それは?」

安堵したように微笑んだキョーコに、蓮は手元を指差し質問する。

「え、あ……これですか?」

ほとんど無意識だったのか、折られたままの形の指を目で確認したキョーコは照れながら説明した。

「稲光で空が光ってから数を数えるんです。ゴロゴロって鳴るまで数えて、時間が経つほど遠くにいるって教えて貰って」
「なるほどね。光の速さと音の速さの差で計ってるのか」
「はい。子供の頃なんかは雷って恐くて、近くに落ちたらどうしようって真剣に数えてましたよ」

懐かしむように笑っていると、もう一度稲光で空が明滅し、

――ドンッ……!!

すぐに雷鳴が轟く。
先程よりも大きく、体のまんなかにまで響くような轟音は、雷が間近であることを教えた。

「わっ、今度は結構近いですね」
「そうだね。下手したら停電もあるかな」
「大変……私、何か備えられるもの探してきます!」

とは言え、あくまでも撮影用で急拵えの部屋、数日分の日用品や食料はあるものの、使えそうなのは備え付けの懐中電灯が一つだけだった。
心許ないが仕方ない。
スタッフから停電時の連絡でも入るかと思ったが、何の音沙汰もないことから緊急時の対応まで含めてモニターするつもりなのかもしれない。

「早めに休む準備をしておこうか。電気がなくなったら色々と不便だし」
「そうですよねっ」

二人は短い時間でシャワーを浴び、寝支度を整えてリビングにて腰を落ち着けた。
目の前のテーブルには懐中電灯を置いている。
相変わらず雨は止む気配を見せず、時折暴風が窓をガタガタと揺らしていた。

「そういえば、今日の仕事はなんだったのかな?」
「え、えーと。……今日は裏方の仕事が主でした」

きまぐれロックの収録のため、坊に入ってました、とは口が避けても言えないので、ラブミー部絡みである事を仄めかして逃げる。

「敦賀さんはドラマの撮影ですか?」
「いや……今日は雑誌のインタビューやスチール撮影だったんだ。順調に終わって良かったよ」

最速で撮影をこなしていたとは微塵も感じさせず、蓮は優しく微笑んだ。

「こちらがお待たせしてしまった形になってスミマセン」
「いや、俺も終わったばかりだったからほとんど待っては無かったんだよ?」
「いえいえ、それでも先輩をお待たせするなんて……」
「そこまで畏まらなくても良いのに」

その後も仕事や趣味の話等、他愛ない会話をしばらく続けたところで

――ブツリ。

突如闇が訪れた。

「わっ……」

明るい所から急に暗い場所へ放り込まれたように、すぐには目が慣れず身体がすくむ。

「京子ちゃん、大丈夫?」

落ち着いた蓮の声。
カチリと、音がしたと同時にパァッと光源が現れた。

「やっぱり、準備しておいて良かったね」

蓮は用意していた懐中電灯を点灯させ、ごく僅かではあるが周囲を照らす。

「ありがとうございます。少しでも灯りがあると安心しますね……」
「うん。でも……この光量だと厳しいかな」

部屋に備えられた定点カメラでは、撮影の継続は難しいかもしれない。

「それじゃあ、今日はもう休もうか」
「そうですね」
「じゃあ、はい」
「?」

なぜか差し出された蓮の手。

「手、繋いで行こうか」
「!?」
「明かりがコレしかないからね、転んだりしたら大変だろう?」
「そ、うです、よね……」

至極もっともで合理的な言い分に、キョーコはソッと蓮の手に自分の手を重ねる。

(ただの安全綱代わりだから、業務的に致し方ない行為だから、意識するな私の手の神経っ)

かつては手を繋ぐよりも濃厚な絡み合いを経ているのに、素の状態ではこれだけで跳ねる心臓。

全く、厄介な病だと思う。

繋いだ手が熱いのは、どちらの体温が高いのか。

「もう、大丈夫です」

無事キョーコの寝室の前へ辿り着き、ガチャリとドアを開けた。
ここまで来たら後は数歩進んでベッドに潜り込むだけだ。

「ありがとうございました。敦賀さんも気を付けてくださいね。おやすみなさい」
「…………」
「敦賀さん?」

蓮の反応がない。
そして名残惜しいと思いながら繋いでいた手を離そうとするが、どうにも蓮の手の力も緩む気配がない。
どうしたのだろうと首を傾げるが、足元を照らす懐中電灯の光だけでは、蓮の表情は読み取れなかった。

「あの……」
「……少し、入っても良い?」
「へ?」

遠くで、雷の音が聞こえた。






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