モシモナふたり 3


ご無沙汰しております、珠々です。
こんなに間を開けるつもりではなかったんですが、もーーー色々ありまして、体力ゲージが真っ赤でした。。

この時期、皆様ご存知の運動会。
あれってほんと、お弁当の準備でかなりの体力奪われますよね。
前日から準備してー朝早くから起きてー。
さらにPTAの仕事なんかもあったのでバタバタ。。

しかもですよ。

うち、アリの襲撃にあってました。
ある日仕事から帰ると家の床中に大量のアリが……
頑張って掃除してもどっかからか出てくる。
なんでかなーなんて思いながら、見つけたのが

窓枠におびただしい卵とアリ……(絶叫)

リアルに叫びましたよね。

絶対数日前にはなかったのに、どうやら長雨や台風から逃げるため移動してきたようなんです。

詳細は割愛しますが、駆除頑張りました、マジで。
その後一週間以上もずっとアリの残党と戦ってました(今もまだちょっといる)
毎日毎日クタクタですよもう。
あまりの出来事にアリへの恨み言を呟くと、友人から天空の城を崩壊させた呪文を頂戴しました。
ありがとう、好きだ。

しかも同じ日にお湯が出ないトラブルも起きて、慌てて業者さんに来てもらうと給湯器の中でヤモリが焦げてたりとか。
基盤をショートさせたみたいでお湯出なかったんですね。

田舎だからってこんな一辺に来なくてもっ!

そんなこんなで、仕事の昼休みにも疲れて眠くて伏せたりしてました。

あ、前回、前々回と拍手やコメント本当にありがとうございます!
嬉しいです、創作の源です、ほんと。
はじめましてなコメントの方もいらっしゃったりと、画面の前でペコペコさせてもらってます。
近日中にお返事させて頂きますね!

では、続きよりどうぞー。









「はい、オッケー!」

セット内に響くカメラマンの声。
都内某所、蓮は雑誌のスチール撮影に挑んでいた。
カット確認のため、しばしの休憩が挟まれる。

「蓮、お疲れ。ほい水」
「ありがとうございます」

蓮は控えていた社からペットボトルを受け取ると、コクリと水を流し込んだ。
思ったより喉が渇いていたようで、水分を摂ると「ふぅ」と深く息をついた。
そこで社は観察するように蓮の顔色を伺う。

「だいぶ飛ばしてないか?」
「そうですか?」
「この分だと、予定よりかなり早くあがれそうだな」
「だと良いんですが」

ここまで順調にいくのは、秒単位で出されるカメラマンからの要求を的確に表現する蓮のモデル力のなせる技だった。
イメージ通りにポージングするのは見た目よりもかなりハードで、頭のてっぺんから爪先まで神経を集中させなければならない。
それを、ほぼ一発OKする蓮の気迫は周囲にも伝わり、伝染するように撮影現場全体の集中力アップに繋がり、結果撮影時間の短縮に成功していた。
どうしても時間が押すのは避けたかった理由は唯一つ。

「愛のパワーだねぇ」

キョーコのためなのだから。
しみじみと、社は兄のような心持ちで笑う。

「……約束しましたからね。俺のせいで待たせる訳にはいきません」
「そうだな」

今朝、キョーコを送り届けての去り際に蓮は『迎えに行くから』と念を押していた。
きっと出発前にもあの手この手で遠慮するキョーコと蓮のやりとりがあっただろうことは想像に難くなく、申し訳なさそうにしながらも笑顔で『お待ちしてます』と言ってくれた約束を違える訳にはいかない。社もその場にいたのだから、気持ちは十分に理解していた。

「それで、どうなんだ?家の方は」

過去にも、兄妹としてホテル住まいをしたことはあった。だがあれは演技をした上で過ごすことが大前提だったため、状況は特殊だったに違いない。
と、言うことは、素のキョーコと僅かとは言え一緒に過ごせるのはさぞ嬉しいだろうと社は兄心から聞いてみた。

「そうですね……」

質問を受け、蓮はキョーコと過ごした時間を思い出して自然と笑顔になる。

「……あたたかいな、と」

キョーコが待っていてくれた部屋。
『おかえりなさい』と出迎えてくれた時の、あたたかい気持ち。

「同じ空間に彼女がいてくれるだけで、空気がやわらかくなる気がするんです」

それはきっと、他の誰でもなく、キョーコだから。

「一緒にいて心地良いってやつかぁ」

幸せそうな顔で語る蓮を見て社は思う。

もう、くっついちまえっ

外野がとやかく言うことでないのは百も承知なのでうんうんと頷くに留まるが、それでもヤキモキしてしまうのは仕方ない。

「それと、食生活は劇的に改善されました 」
「ほんと……キョーコちゃんには頭が上がらないな。どうやってお前に飯を食わすか悩まなくて済むんだから」
「失礼な。俺だってちゃんと栄養の摂取くらい出来ます」
「そこで『食事』って言わないとこがもう末期だからな」

他は完璧なのに、食事に関しては壊滅的に信用ならない蓮。それだけ自分を省みないという事だろうが、最近ではキョーコのおかげで人並みに食べられるようになってきたのだから、いくら感謝しても足りない。

「キョーコちゃん、料理上手だもんな。良いお嫁さんになるだろうなぁ」

ピクリと、蓮が反応した。

『お嫁さん』

将来、誰がキョーコの隣にいるのだろうか。
誰に微笑みかけるのだろうか。

あえての言葉選びだったが、社は誘導するように淡々と話す。

「なぁ蓮。これは少なからず業界の人間を見てきた俺の個人的な意見だけどな、キョーコちゃん、絶対美人になるぞ?ラブミー部だから大丈夫、なんて言ってられなくなるだろうな」
「……何が、言いたいんです?」
「いつ、どこで、キョーコちゃんを狙う馬の骨が出てきてもおかしくないってこと。その時にお前は、『頼りになる先輩』のままで良いのか?」
「…………」

しばらく黙って聞いていた蓮は、フッと口角をあげると、おせっかいで苦労人のマネージャへ笑いかける。

そんなこと。

「分かってますよ」

言われなくても。



**********



遡ること一月前。
事務所への用を済ませた蓮と社は、休憩スペースで唸っている椹を見つけた。

「うーん……」

眉間の皺を深くして腕を組み、テーブルに置かれた何かの紙とにらめっこしている。
深刻な問題でも起きたのだろうか。

「椹主任、お疲れ様です」

マネージメント業務に支障が起きないかどうか、情報収集のため社が声をかける。

「おぅお疲れ」
「どうしたんですか?悩んでるようですが」
「それがなぁ……」

椹は一層深く溜息を吐き、頭をガシガシとかいて口を開いた。

「新番組のゲストを誰にするかで困っててな」
「新番組?」
「あぁ。来月から始まるTBMの新番組でな、うちのブリッジがMCやるんだ。番組のプロデューサーから出演者の手配を任されてなぁ」

番組編成のこの時期、そういえばTBM局内にもポスターがいたる所に貼ってあった気がする。

「芸能人の男女二人を数日同居させるってお試しバラエティーなんだが、どうにも男側の調整がつかなくてな」

数人の候補のタレントへオファーを投げてはいるものの、スケジュールの都合がどうにも合わず、断られ続けているらしい。
しかし、そこまで頭を悩ませるだろうか。

「人選はどうなってるんです?」

自分が口を出す範疇ではないと思いながらも、蓮は解決の糸口にでもなればと話を広げる。

「あー。話題性や好感度も勿論なんだが、同居なんて特異な環境だろう?カメラがあるって言っても限界がある。相手の女の子に手を出したりしない信頼のある奴ってのがなかなか……」
「それは……この業界ですからね」

ドラマの撮影中にも、共演者にセクハラまがいの事をして後々問題になるパターンが増えていると聞く。
確かに人選を誤るとマズイだろう。

「っと、スマン。つい愚痴っぽくなったな。まぁ、お前らも誰か良い奴がいたら教えてくれ」

椹は多忙な人気俳優をこれ以上留めまいと苦笑し話にキリをつけた。

「分かりました」

蓮と社としてもこれ以上の口出しは避け、素直にその場を立ち去ろうとした、その時。

「さて、最上くんにも少し待って貰わないと」

二人はピタリと動きを止めた。

「……椹さん」

ニッコリと、害のない笑顔で蓮は椹へ向き直る。

「ん?」
「既に決まってる女性側のキャスティングって……?」
「あ、あぁ、言ってなかったか。うちの最上くんだよ」

妙に威圧感のある蓮の笑顔に若干たじろぎながら、椹は続ける。

「ドラマじゃないが、本人の幅を広げるにも良いだろうと思ってな」
「そうですか」

社、無言でスケジュール帳を開く。

「社さん」
「ちょっと待て……この日なら……」
「おい?」

言葉は少ないが何かを確認しあっている蓮と社の謎のやりとりに、椹は首を傾げた。

「椹さん。俺なんてどうですか?」
「………………はあっ!?」

言葉の意味が脳に伝わるまでかなりの時間を要した椹は、腹の底から素っ頓狂な声をあげる。

「いえ、俺もそういった経験はしておいた方が良いかなと思いまして」
「いやいやいや、そんな駆け出しじゃないんだから……」
「自分で言うのもなんですが、同年代の中でも落ち着いているつもりですし、安心感はあるんじゃないかなと」
「そ、そりゃそうだろうが」
「幸い、少しなら時間もとれるようなので」
「社君、大丈夫なのか……?」

願ってもない申し出だが、果たして撮影に足る時間が取れるかどうか。
ものの数分でやつれた気のする社へ椹は確認する。

「二泊だけなら何とか……」
「では、よろしくお願いします」
「お、おう」

こうして、LMEの稼ぎ頭自らの売り込みにより、無事に撮影のスケジュールは動き出したのだった。







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