モシモナふたり 2


こんにちはこんにちは。

夏休み終わりましたね!
最近の学校の宿題は親が丸付けしないといけず、夏休みの宿題は最終日に追い込むタイプだった私は丸付けも溜めに溜めて(二人分だし)久しぶりに学生気分を味わいましたよ(ズボラなだけ)

何とか終わって良かった……!
子供も私も←

さてさて、新しいお話に反応くださいましてありがとうございます。
拍手やコメント等、励まされる事ばかりで、本当に嬉しいです。
糧ですよねやっぱり!
反応頂けるからこそモチベーションも溢れます。
えへへ。

そして番組を見たことがないので、実際の進行とは違う部分もあるかとは思いますが、蓮キョバージョンはこんな感じだとご容赦くださいませ。
では、少しでもお楽しみ頂ければ幸いです!

続きよりどうぞー。










**********

ピピピピピ――

夜明けからまもなく。
薄暗い部屋の中、手探りでだるまの目覚まし時計を止めたキョーコは、モゾモゾと身動ぎをして重い瞼を開けた。

「ん……」

フカッとしたいつもと違う寝心地に、ぼんやりとしていた頭が急に覚醒する。

(そうだ……仕事でお試し同居中だった……)

よりにもよって、敦賀さんと。

嬉しいような複雑なような。
手離しで喜ぶ訳にもいかず、かといって嫌がるなんてとんでもない話で。
そもそも、自分以外の人間が蓮と同居なんて短期間でも心穏やかに過ごせる自信はないのだから、腹を括らねばどうしようもない。
そう、たとえ「京子ちゃん」と名前を呼ばれる度に心臓が跳ね上がったとしても、決して顔を崩す訳にはいかない。近すぎる距離に体温が上がっても、蓮にだけは気取られてはいけない。
キョーコはこれ以上考えるのをやめ、ベッドから起きると思い切り背伸びをする。

「ん~~~っ……よし!」

拳を作り気合いを入れると、早々に着替えて部屋を後にした。

**********

「おはよう京子ちゃん」
「おはようございます敦賀さん」

キョーコから遅れること十数分。
しっかり身支度を整えて起きてきた蓮は、キッチンにいるキョーコへ朝の挨拶をした。
ジュワッと焼かれたベーコンと、パンの香ばしいかおりが食卓を包む。

「相変わらず早いね。ちゃんと眠れた?」
「はい!敦賀さんこそ、しっかり休めました?」
「勿論。枕も持参してるからね」
「まっ……!」

ニコニコと上機嫌な蓮は、当たり前のように爆弾を投下してきた。キョーコはまさに皿へ乗せようとしていた目玉焼きを危うく落としそうになる。
枕とは、あの枕だろうか。
いえいえ、いくらなんでも違うんじゃ?
キョーコは恐る恐る話を繋げる。

「そ、そうなんですか。枕って大事ですもんね」
「そうだね、もう手放せないよ。ふわふわで手触りも良くて」

ハッキリと断言されたわけではないが、キョーコの脳裏に丸みを帯びたフワフワのシルエットが浮かぶ。

(アレのことよね、やっぱり……)

恥ずかしながらも悩んで悩んで悩み抜いて、自分がプレゼントした、ヒツジの枕。
無人島に持っていってくれるだけでなく、まさかこの現場にも同行させてくれるとは。

(どうしよう……うれしい)

添え物の副菜を盛り付けた所で朝食の完成だった。
思わず緩んでしまいそうな顔を必死に平常に保ち、キョーコは話題を変えようと蓮に椅子をすすめる。

「朝食、温かいうちにどうぞ。敦賀さん、朝は少食ですから軽いものにしてみました」

(顔、赤くなってないわよね……?)

蓮の言葉にペースを乱されつつも、この後のスケジュールを考えるとあまり時間に猶予もないため、同じくキョーコも席に着いた。
手を合わせて、いただきますと箸を取ったその時。

「ありがとう京子ちゃん」

向かいに座っている蓮から、見るもの全てを浄化してしまいそうな微笑みで礼を言われる。

「え?」

眩しいっ。朝から眩しいですっ。
そんな心の声は勿論表に出さず、何に対しての「ありがとう」なのか分からないキョーコは素直に首を傾げた。

「こんなにしっかりした朝食をありがとう、と思ってね」
「そんな、大したものはご用意してませんよ?」
「いやいや、京子ちゃんにはお世話になりっぱなしだよ。俺も何か手伝えないかな」
「こういうのは出来る人がやれば良いんですよ。適材適所です」
「なるほど、ね……」

事実、簡単な朝食ならそんなに手間もいらないし、料理のいろはもあまり知らず鶏肉を素手でちぎる蓮に何かして貰うよりは、自分でサッサと準備してしまう方が精神的にも味覚的にも安心出来る。
何より、多忙を極める蓮のために少しでも役に立ちたい気持ちもあった。
だが、キョーコの思いとは裏腹に、蓮は閃いたとばかりに提案を持ちかける。

「じゃあ、一つ良い?」
「なんでしょう?」
「京子ちゃんの仕事の送迎、俺がしていい?」
「……はい?」
「言っただろう?適材適所って」
「言いましたけど、だからってそんな……敦賀さんの貴重なお時間を無駄にするわけには……」
「だってほら」

蓮は窓の外を指差した。

「結構雨も強くなってきたし」

爽やかな朝とは言い難い、薄暗くどんよりとした雨天。
起きた時には細い小雨だったものが、今やザーザーと大粒の雨となり、どうあっても濡れるだろう外出を億劫にさせる。
自転車か公共交通機関を使おうとしていたキョーコの移動手段を考えれば、確かに有難い申し出ではあった。

「でも……」

しかし、多忙な蓮のサポートをしたい、と密かに決意した直後、手を煩わせてしまう状況は如何なものだろうか。
ここは何とか穏便にお断りをしよう。

「ほら、社さんもお迎えするとなると遠回りですし」
「その分早めにここを出れば大丈夫だよ。まだ時間に余裕はあるからね」

早起きが仇になった。

「バス停までは遠くないですし、そこまで傘で行きますよ」
「雨、横殴りになってきたけど」

静かな部屋に、雨粒が窓を激しく打ち付ける音が響く。

「もし濡れたら着替えを持っていくので大丈夫です」
「女の子の足元が濡れるのを分かってて、平気な顔は出来ないよ」

「ね?」と諭すように言われれば、最早キョーコに拒否権はなかった。
更に、これぞフェミニスト、な台詞も蓮が言えば様になってしまうから不思議だ。

「ス、スミマセン……よろしくお願い致します……」

結局、キョーコの根負けで蓮の送迎が決定した。
そもそも、話せば話す程逃げ道が無くなっていくのは気のせいだろうか。



**********



「敦賀さんと一晩過ごしでもしたの?」
「モー子さん……」

ズバリと、歯に衣着せない物言いで切り出したのはラブミー部同志の奏江。
たまたま蓮の車から降りる所を見られてしまい、部室に入るなり聞かれたのだった。
単純に答えるならばイエスで、しかし内実は色気もへったくれもない「仕事」なのだから、それ以上でも以下でもない。
キョーコはお茶で喉を潤し、苦笑しながら応える。

「そうなんだけど、仕事なの」
「仕事?」
「うん。新番組で、芸能人の男女をお試しで同居させようってやつなんだけど」
「…………」
「モー子さん、『うわ、何それ例え仕事でもやりたくないわ』って顔してる」
「察してくれたなら何よりだわ。それで、アンタと敦賀さんの二人で一緒に過ごしてるってわけ?」
「うん。昨日からなんだけどね。今日は大雨だったからわざわざ送ってくれたの。敦賀さんの時間を貰っちゃって申し訳ないったら……」
「まぁあの人、女の子が濡れるのは忍びないって言いそうよね」

(敦賀さんの場合、この子だからってのもありそうだけど)

推測ではあるが、奏江が蓮の意図を正確に読み取っていると、キョーコが「そうなの」と深く頷いた。

「良いんじゃない?先輩の顔を立ててあげなさいよ。ところで、今回の撮影で密着カメラはいないの?」

仕事風景等も数カット必要になる場合、撮影カメラも着いてくることが多いが。

「あ、うん。あくまでも部屋の様子を撮るみたい」
「ふーん。擬似的にプライベートを作りだしてそれを見せるってことね」
「さっすがモー子さん」

番組の趣旨を即座に理解した奏江に、キョーコは拍手と尊敬の眼差しを向けた。
ただ無意味に撮られるのと、『プライベートを演じて撮られる』では、画面の向こうで移り方が違うらしい。

「ところで、敦賀さんと一緒で何か不都合はないの?」
「え?うーん……特には?」

(実はヒール兄妹でも一緒に生活してたとは言えない……)

あの時はホテル暮らしだったし、お互い役を演じて過ごすのが大前提だったが、それでも基本的な生活スタイルは変わらない。
あの事は口外出来ないが、ある程度慣れているのは事実だった。

「まぁ、敦賀さんのことだから大丈夫でしょうけど」
「?」

何がだろう?

「もし、変なことされそうになったらすぐ逃げるのよ」
「~~っ!?」

飲んだいたお茶をゲホゴホと盛大に噎せ、キョーコは涙目になりながら思い切り狼狽えた。

そんなこと、あるわけないじゃない。






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