スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

モシモナふたり 1


こんにちはこんにちは。

台風は被害が酷いようですが、皆様お住まいの地域は大丈夫でしょうか。
こちらはこれから来るようです。変な進路なのでいまいち心構えが出来てませんが、夏休みの最後にやめてほしいなぁ。

さて。
久しぶりのSS更新です。

ちゃんとパラレル以外も書くんですよ!
上手く書けているかはまた別問題ですが。
それでも、妄想が始まってしまったものはアウトプットしたい性なのでご勘弁頂きたくっ。

そしてタイトルで丸わかりなのですが、今回は某バラエティーのお試し同居。
あれ、蓮キョでやったら楽しそうだなって思ってですね。
しかし、番組は未視聴という暴挙に出ております。なので、細かい所は違うでしょうし腰を据えて晩酌しながらトークを弾ませることも今のところないのですが。
少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。
続く予定です。













「ただいま」
「おかえりなさい」

蓮が帰宅し、キョーコが迎える。

「誰かに出迎えて貰うのって良いね」
「あはは、そうですね」

二人並んで足を運ぶリビング。
ホッとする空気と、鼻腔を擽る芳ばしい香りが漂う。

「お口に合うか分かりませんが、ご飯作ったので……召し上がりますか?あ、それともお風呂から入っちゃいますか?」

やや頬を染めながら申し出るキョーコは大変に可愛らしく、蓮は抱き締めたい衝動を全力で押さえ込むため脱いでいた上着をグッと握った。
皺になったかもしれない。

「京子ちゃんは食べたの?」
「いいえ、私もまだです」
「それじゃあ、先にご飯にしようかな」
「では、すぐご用意しますね!」

嬉しそうにパタパタとキッチンへ向かうキョーコを、愛しげに見送る蓮。
二人のやりとりは、新婚さながらの初々しさと微笑ましさがあった。

カメラが回っていなければ、の話ではあるが。

**********

ジャジャーン

軽快な音楽と、画面にはポップなタイトルが映し出される。
観覧席からの拍手も響く中、番組がスタートした。

「さぁ始まりました新番組、『モシモナふたり』ー!」

MCであるブリッジロックの光が元気にタイトルコールする。

「この番組は、芸能人の男女をお試しで同居させちゃおうっていうある意味冒険バラエティーです」
「革新的ですね~」
「いや、今までも同じコンセプトの番組結構あったからな!?」

アハハと場内笑いが起こる。

「まぁまぁ。今までは大人数の男女で一緒にってのが主流だっただろ?なんとこの番組では、二人っきりで過ごして貰います!」
「マジですか!」
「大丈夫?間違い起きてない?放送出来る?」
「放送出来ないことが起こった時は責任持ってカットさせて頂きますのでご安心ください」
「安心出来ないからねそれ」
「何事もなかったようにVTR繋げますからね」
「編集の腕の見せ所やな」

テンポの良い掛け合いが人気でもあるのだろう。次々と繰り出される会話はアドリブだった。だが、話を逸らさずに筋を通すのはリーダーたる光の仕事。

「そんな、記念すべき第一回目のモシモナフタリは……この方々!」

カメラがセット中央へ切り替わり、照明も一段暗くなった。

「敦賀蓮さんと京子さんでーす!」

派手な効果音と、プシューと勢いよく噴き出すスモークに後押され、今回白羽の矢が立った蓮とキョーコが登場する。

「敦賀さん、京子ちゃん、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
「はい、よろしくお願いします!」

蓮は観覧席からの声援にも笑顔で手を振り、会場の誰よりも余裕が見てとれる。
横に並ぶキョーコも、「京子ちゃーん」と数人からのかけ声にはにかんで手を小さく振る様が大変可愛らしい。MCである光も心では「京子ちゃん可愛いよー!」と叫んでいた。

「どうでしたか、一緒に暮らしてみて?」

司会進行は台本通りの第一声。
これに当事者の二人が簡単に感想を言う所だが。

蓮とキョーコ。
自然にお互い顔を見合わせ、言葉を発するでもなく瞬時に二人の世界に入る。
それは見ている者全員が感じた『良い雰囲気』。
アイコンタクトで何を伝えあったのか、蓮がゆっくりと口を開く。

「すごく、楽しかったですよ」

ニッコリ。

「キャアアアアア!!!」

きらめき三割増しの蓮の笑顔に、会場中の女性は黄色い悲鳴が止まらなかった。
恐らくテレビの前でも同じ現象が起きているのではないだろうか。

「めっちゃ仲良くなってるじゃないですかー!」

(リーダー大丈夫か!?)

光の恋心を知っている慎一は、茶化すように軽い調子で言葉を返した。
まさかここまで親密なオーラを醸し出すとは予想だにせず、横目で光を見れば司会にあるまじき放心状態。

(帰って来いリーダー!)

内心の焦りを何とか抑え、雄生が光をつつく。
ハッと気持ちを切り替えた光がVTRをフリ、進行上滞りなく無事にオープニングが終わる。

「そ、それでは、二人の様子を一緒に見てみましょう!」

**********

テーブルに手際よく並べられたのはジェノベーゼパスタと冷製スープ、小鉢にはカプレーゼと、イタリアンなメニューだった。
彩り豊かな品々はそれだけで目を楽しませ、食欲をそそる。

「どれも凄く美味しいね」
「ありがとうございます。良かったぁ」

蓮の絶賛に、キョーコは若干の緊張をようやく解すことが出来たようだった。

「うん、これならいくらでも食べられるよ」

ニコリと穏やかに微笑む様は春の日和。
蓮は打算も策略も必要のない『仕事』という大義名分のもと、キョーコの料理を堪能し、更には一緒に暮らせるとあって心の内は弾まないはずもなかった。

「京子ちゃんは料理得意なの?」

二人の仲を知っている人間ならば、何を今更と思う。
だが、これは収録であり、衆人環視に晒されているに等しい状況で「蓮がキョーコの料理の腕前を知っている」のは得策ではないと事前の打ち合わせで話し合われたからだ。
でなければ、「あんな新人タレントが許されるなら私も!」などと息巻いて蓮に手料理を振る舞おうとする女性芸能人が後を立たないのではと簡単に予想出来た。
キョーコ以外の人間からそんなアプローチはいらないと、蓮も社も言葉にするまでもなく。ひと欠片の疑惑も持たせないことが必要だった。
更には、キョーコの料理上手がアピール出来る格好の機会でもある。

「そうですね、結構作りますよ。敦賀さんはお料理はされるんですか?」
「いや、俺はあまり得意ではないかなぁ。出来るようになりたいんだけど、中々時間がなくて」
「お忙しいですからね」

誰もが認めるトップスターに「愚問でした」と苦笑すると、キョーコは続けて台本にあった台詞をなぞる。擬似的なオフの設定であっても、撮りたい台詞や流れはあらかじめ台本が用意されていた。

「じゃあ、誰か作ってくれる人とかいたりは……」

恋人にあたる存在をそれとなく聞く質問だった。勿論答えはノーだろう。

「いるよ」
「そうですよねーいますよねー…………えぇ!?」

いないよ、という言葉を待っていたキョーコは素で反応してしまった。
自分が知らないだけで、実は親しい関係の女性がいるのだろうか。

「後輩なんだけどね」
「え?」

後輩?

「俺、集中すると空腹を感じないみたいで、食事をあまり摂らない日もあったんだ。だけど身体は無理してたんだろうね、ちょっと体調を崩したことがあって」

どこかで聞いたことがあるような……

「その後輩に、食べることの大事さを教わったんだよ」
「そう、なんですか……」
「うん。だから時々、俺の食事事情を心配して作ってくれたりするんだ。感謝してる」

ふわりと優しく微笑んだ蓮を、キョーコは直視出来なかった。
ここにはいない他人のようで、話の内容は自分に向けられた感謝の言葉だなんて。

(ふいうちだわ……)

ふしゅるると湯気が出そうな顔の熱は水を飲んで誤魔化し、崩れそうな相好は表情筋を全力で固定して穏やかな微笑みをキープした。

「ごめんね、浮いた話じゃなくて」
「い、いえ。貴重なお話でした」
「ところで京子ちゃんは好きな人とか」
「いません。仕事が恋人です」

赤面しそうなフワフワとした心地を一瞬でしまい、どキッパリと躊躇いなくキョーコは答えた。自分に話をふられた時にはこう言おうと決めていただけに、スムーズに出たはずだが。

「ぷっ……くく……やり手のサラリーマンみたいな答えだね……」

なぜか蓮のツボを押してしまったようで、くすくすと笑われ続ける。

「スミマセン、枯れてて」

わざとジト目を作り、そんなに笑わなくても良いのにと不服を表明する。

「ごめんごめん、あまりに気持ちの良い返事だったから」

蓮は未だに口元を押さえて無邪気な笑顔をこぼすものだから。

(……か、可愛いなぁもうっ)

こう思ってしまうくらいには末期なのだった。

和やかに初めての夕食を終えると、二人並んで後片付け。

「敦賀さんはお休みになってても……」
「いやいや、作って貰って食べっぱなしじゃ悪いよ。これくらいさせて?」
「じゃあ……お願いします」

テキパキと片付けを済ますと入浴タイムだ。

「俺から先に入るけど……」
「はい!どうぞ。ごゆっくり」
「……覗かないでね?」
「んな……っ!そんなことするわけないでしょう!!」

冗談だよと笑いながらバスルームに入った蓮に、キョーコは赤い顔のまま「長湯に気をつけてくださいね!」と声をかける。

(んもうっ!カメラがあるのになんて破廉恥なこと言うの!そりゃヒール兄妹の時は勢い余って乗り込んだことはあるけど……)

そうして一瞬、一瞬だけあの時の蓮の裸体を思い出しかけて。

パァン!

自分の両頬を掌ではたき、煩悩を打ち消した。
今ここで床をローリングしながらエビフリャーになるわけにはいかない。

既に十分不審な動きであるが、キョーコは何事もなかったようにキッチンへ戻り明日の食事の下拵えを始めた。

しばらくすると、ラフなナイトウェア姿の蓮が出てくる。

「お待たせ京子ちゃん。次お風呂どうぞ」
「あ、はい……っ」

湯上がりのせいか少し湿った髪が艶やかで、妙な色気が醸し出されている気がする。

「いってきます」

すれ違い様に石鹸の良い匂いがフワリと届き、それだけでドキリと跳ねる心臓を無理矢理抑え込んでバスルームへ飛び込んだ。

「はぁぁぁぁー……」

密かに想いを寄せる相手を前に、何ともない顔をするのは中々に気が抜けないと、グッタリしながら疲れをシャワーで洗い流すのだった。

「お風呂頂きましたー」

熱めのお湯にしたせいかポカポカと内から温まり、部屋のクーラーが心地よい。

「おかえり」

明日の仕事の確認だろうか、台本が数冊テーブルに広げられた状態で蓮が出迎えるが、キョーコを見てピシリとフリーズしたようにみえた。

「敦賀さん?」
「あ、あぁごめん。……その、可愛い格好してるから。初めて見たなって」
「へ」

一応テレビに耐えられるものとして選んだのはパイル地のパジャマだった。半袖のチュニックは胸元がしぼられリボンのようなデザイン。ハーフパンツとセットなので、多少寝乱れても安心な設計なのだが。
よく考えれば、蓮の部屋で朝まで過ごした時はまさか泊まるとは思わずに私服のままだったり、ラブミーつなぎだったはず。
更に言うなら、セツカの時はもっと際どい格好で寝ていたが、状況が特殊過ぎたのでノーカウントなのかもしれない。
だとすれば、完全に素で無防備な寝間着姿は初披露になるのでは。
キョーコはそこまで考えると途端に気恥ずかしくなる。

「あ、ありがとうございますっ。……敦賀さんは台本読みですか?」

恥ずかしさと照れから、すかさず話題を変えるべくテーブルの上の物を引き合いに出した。

「うん。でも、明日は早いからそろそろ休もうかな」
「そうでしたか。明日は何時からお仕事ですか?」
「◯時からだね」
「分かりました。では、お邪魔になるといけませんので私ももう部屋に下がりますね」
「そうか。それじゃあ、おやすみ。ゆっくり休んで」
「はい、おやすみなさい。敦賀さんもしっかり寝てくださいね」

就寝の挨拶を交わすと、お互いに割り当てられた寝室へ入っていき、一日目の夜がようやく終わりを告げた。





スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。