正しい召喚のススメ 33

ダイエット中です、珠々です。

や、って言ってもなるべく意識して食べ過ぎないようにと、夜に筋トレやってるくらいなんですがね。
それでも、三人目出産後から中々落ちにくかった体重が微減し始めたので、やるかやらないかで違うなーと思った今日この頃でございます。

ところで、今週末は私用で福岡に飛びます。

某ロックバンドの復活ライブなのですよー!!

今からもうソワソワしてます。
あー楽しみだなー楽しみだなー。
ラーメンも食べるぞー!

そんな訳で、本日も更新に参りました。

現在最終話になるかなって所を書き進めております。多分、もうすぐでキリがつくかと思いますので……長らくお付き合い頂いた優しい方、もうしばしお付き合いくださいませ……!

お楽しみ頂けると嬉しいなぁ。

では、続きよりどうぞ。











「コーン!」
「キョーコちゃん」

笑顔で駆け寄ってくるキョーコ。
初めて二人出会った場所が、約束の場所になった。
朝の清々しい空気の中、大きな木の根元に二人並んで座る。

あれから二日、多く一緒に居られた訳ではないが、それでもたくさん話をした。
主に話すのはキョーコで、自分のこと、好きなもの、嫌いなもの、母親のこと、一時的に預けられているのが今住んでいる旅館だということ。
とりとめのない会話も、久遠には何よりも大切な時間となった。

「コーン、服着替えたんだ」
「まぁ、ボロボロだったから……」

あまり頓着はしていなかったが、出会った時と同じ、切り裂かれ所々血の滲んだ服を見たキョーコから「家に帰ってないの?」と心配されたため、新調するに至ったのだった。と言っても、魔力を使い布地の再構築をしただけなのでデザインは同じものになるが、そこは気にしないようにした。

「そっかぁ。実はショーちゃんの服持って来ちゃおうかなって思ったんだけど、よく考えたらショーちゃんの服だとコーンには小さいかなって」

(『ショーちゃん』は俺より小さいのか)

望まずに増えていく、キョーコの好きな男の子の情報。
それだけキョーコの心の大部分を占めていると思うと、久遠の中に負の衝動が沸き上がる。
折角穏やかに過ごしている二人きりの時間を台無しにしそうな、そんな自分の感情に無理矢理蓋をして今日も過ごす。

「わたし、コーンの秘密、なんとなく分かっちゃった」
「秘密……?」

少しだけ、ギクリとした。
悪魔だとバレた?
いや、バレてなんの都合が悪いわけじゃない。が、こちらの世界では禁忌とされている存在ではなかっただろうか。
だとすれば、もうキョーコは会ってくれなくなるかもしれない。

それはイヤだな……

なまじポーカーフェイスなだけに、久遠の心中など分かるはずもないキョーコは、声をワントーン落として。

「コーン……家出してるんでしょ」

神妙な面持ちで、さも大事と言わんばかりに切り出す。

「……いいや?」

そっちか……

「そうなの?」
「うん。と、言うか、なんでそんな話に」
「……あんまりコーン、自分の話してくれないから……」

そうか。
ただでさえ家に帰っていない疑惑を持たれたのに、久遠が自分の話をしなかったためそう結論付けたらしい。更に、初対面が尋常でないケガを負っていたのだから、やむにやまれぬ事情も察せようというものか。

「……それじゃあ、今日は俺の話をして良い?」
「うん!」

とは言え何を話せば良いのか、久遠は迷いながらも話し始めた。

「……俺は、ここからずっと遠い所から来たんだ。でも、来たくて来たわけじゃなくて……追いかけられて、穴に落とされて、気付いたらここにいた」
「穴?」
「次元の歪みみたいなものかな」
「ヒズミ……?」

難しい顔をして首を捻るキョーコ。完全に理解は出来ないかもしれないが、それでも一生懸命に聞いてくれている。

「コーンは……なんで追いかけられてたの?」
「あー……俺の父親は一応……国で一番偉い人、なんだ」
「……王様?」
「そう」
「……じゃあ、コーンは王子様!?」
「そうなる、かな……」

途端に目をキラキラさせたキョーコだが、何かに気付いて急に青ざめだした。

「わ、わたし、なにか無礼なことしてない……?」
「ぷっ………大丈夫だよ。別に血筋が高貴とか、特別偉い訳じゃない。それに、俺はそう言って貰えるような力もないし」
「?」

とりあえず罰せられたりはないとホッとしたキョーコだが、久遠の話に再び首を傾げる。

「俺の世界では、力が全てなんだ。強ければ支配し、弱ければ従うしかない。最悪死んでも、それで終わり。弱肉強食って言うのかな。父さんはそんな世界で、他に並ぶ者がないくらい強かった。でも俺は……父さんの子なのに、あまりにも弱いから……」
「……だから、あんなケガしてたの?」
「俺を気に入らない奴が結構いるらしい」
「それってオカシイよ……お父さんは守ってくれなかったの……?」
「今は仕事で遠くに行ってるんだ……多分、俺がここに居ることも知らないはずだよ」

話している本人よりも、辛そうな表情で聞いているキョーコ。感情の機微に悟いのだろう、耐えるように口を噤んでいた。
だが、重い空気をかき消すように、久遠は殊更明るく続ける。

「でも、こうなって良かったかも」
「なんで!?」

今の話に良いところがあっただろうか。
生まれのせいで理不尽な目に合い、気付けば知らない土地にいただなんて、キョーコなら途方に暮れて泣くしかない。
反応を予想していたのか、久遠はフワリと微笑むとキョーコを見つめる。

「キョーコちゃんに会えた」

それは心からの言葉。

「ケガだってほら、思ったより大したことなかったし、もう痛くもなんともない。それなら、今こうして過ごす時間を楽しんだ方が良いだろう?」
「……コーンは、わたしと会えて嬉しかったの?」
「もちろん。会えなかったら死んでたかも」

サラリと言うが、それは恐らく事実だった。

「わたしもコーンに会えて良かった」

えへへと照れたように笑うキョーコは大変に可愛らしく、久遠は思わずギュッとしてしまいそうな腕を押さえつけていた。

その時、ほのぼのとした二人の間に微かな音が。

――ぐきゅる。。

「お、お腹なっちゃった……」
「あぁ、そろそろご飯時?」
「うん……。わたし、一回帰るね」
「そっか」
「また後で来て良い?」

ねだるような上目遣いに、否の選択肢はなかった。

「待ってるよ」

久遠の返事に、キョーコは嬉しそうに笑うと、「じゃあ、また後でね!」と大きく手を振って駆けていった。

何度目かの「次」の約束。
一人で過ごす時間も、キョーコが来てくれるなら喜んで待てるのが不思議だった。
そして一緒にいる時間が長い程、力が沸き上がる気がするのは何故だろう。

「……なんだ?」

ふと、視界に何かが映る。
それはキョーコの座っていた辺り、妙に存在感のある小さな布袋が落ちていた。

「キョーコちゃんのかな」

入り口を縛っていただろう紐が緩み、袋を拾い上げると中に入っていたモノが転がり落ちる。
トスンと草の上に着地したそれは小さな青い石で、光の加減で緑にも紫にも見えた。
欠けてはいないだろうかと慌てて手に持った瞬間。

――バチィッ!!

「っ!?」

火花のような閃光が弾け、同時に石が触れた部分に激しい痛みが走る。
思わず取り落とした青い石は、何の変化もないまま地面に転がった。
じとりと汗が滲む。

「こ、れは……魔除け?」

しかもかなり強力なものだ。
なぜ、キョーコがこんなものを持っていたのか。
久遠の胸に嫌な予感が広がる。

「キョーコちゃん……!」

今すぐ追い掛けなければ。

そんな脅迫めいた衝動に突き動かされるまま、久遠は走り出した。






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