正しい召喚のススメ 32

こんにちは暑くて溶けそうですね。

昼も夜も気温がそこまで変化しないので涼しい時間がなく、毎日汗だくです。
先日こっちで初めてプールに行ったんですが、暑すぎて温水プールみたいな水温になってましたからね。
でも浮き輪は楽しかったです(カナヅチ)

あとは最近またスプラトゥーンをやり始めたくらいでしょうか。
エイミング苦手なのでローラーばっかりですが(前にも書いたかな)
やっぱりやると楽しいんですよねー。
子供たちの方が多分上手。
マンメンミッ

そして。
今回の更新ですが、過去のお話になります。
もうひとふんばり。。

いつも拍手やコメントありがとうございます!
反応がなければ絶対モチベーション続かないと思うので、本当に励みになってます!
スッキリと終わらせられるよう頑張りますねっ。

では、続きよりどうぞー。












「っ……ここ、は……?」

森の中で目を覚ます、年端もいかない少年。
地面の冷たさがじわりと背中に広がる。

「つぅ……!」

僅かに身動ぎしただけで、激しい痛みが全身を襲った。
傷のない部位がないのでは、と思う程の酷い打撲や裂傷。骨や臓器にも異常があるだろう。
恐ろしく整った美麗な顔を歪め、込み上げる笑いを止めようもなかった。

「ははっ……」

指先一つ動かすのも億劫で、自分の非力さを呪う気力もない。
思考も、何もかもを投げ出して、少年は碧の瞳を隠し、沈むように再び意識を手放した。





ヒヤリ。

(…………なにが……?)

額に冷たい何かの感触。
未だ夢現をさ迷いながら、重い瞼を持ち上げると。

「だいじょうぶ?」

幼い少女が、自分を覗き込んでいた。
額に感じた冷たい何かは濡らした布のようで、目の端にピンクの花柄が揺れている。ビー玉のような丸い瞳は心配そうに潤み、必死に血や汚れを拭いてくれている。

「いたい……?」

まだあどけないその顔は、今にも泣いてしまいそうだった。

いつもならば、見知らぬ誰かに触れられる等我慢出来るはずもなく。
ましてや身体は満身創痍の儘ならぬ状態で、他人が側にいる等自殺行為に等しい。
弱ければ死ぬ。殺される前に殺す。
少年の世界では、それが摂理だった。

――だが、そんな物騒な思考は、少女を見た瞬間にどこかへいってしまった。

ただ、泣かせたくないと。
そう思った。

「……大丈夫だよ」

自分でも驚くほど穏やかな声で返事をする。

「ほんとっ?」

ぱあっと。
花が綻ぶような笑顔とはこういうことだろうか。
頬に赤みがさし、瞳がキラキラと輝きだす。
じわりと胸に広がる温かいものは何だろう。

「うん……ありがとう。君は?」
「わたしね、キョーコ。最上キョーコっていうの。……あなたは?」
「久遠……」

思わず名乗ってハッとした。真名を明かすのは魂を握られるのも同じ。この少女だとて信用出来る訳ではないのに。
久遠は警戒を滲ませる。

「コーン?」
「え」
「コーンって言うのね!」

コーンになった。

「まぁ、いいか……。ねぇ、キョーコはどうしてこんなところにいるの?」
「コーンは『キョーコちゃん』って呼んで!」
「……なんで」
「『キョーコ』って呼んで良いのはショーちゃんだけだもん」
「誰?」
「ショーちゃんはわたしの王子様なの!とってもかっこいいんだから」
「そう……」

モヤモヤと、黒い感情がこみあげる。いっそ「ショーちゃん」とやらに殺意が沸く程。

(って、なんでこんなに不愉快なんだ?)

久遠は自分の感情を持てあましながら、ぶつ切りになった会話を進めるべく、ひとまずは希望通りに呼ぶ。

「じゃあ、キョーコちゃんはどうしてここへ?」
「わたしはこの近くの旅館にいるの。今日はお客さんが少ないから、お手伝いはいらないって。だから、お散歩してたらたおれてるコーンがいて……もう、ケガはいたくないの?」
「あぁ……」

まだ動くのは無理だろう。そう思いながら、キョーコには大丈夫な姿を見せようと、何とか身体を起こそうとして異変に気付く。

(……痛くない?)

軋む身体と激痛を覚悟していたが、負ったダメージに相当するような痛みはどこにもなかった。
グッと上半身を起こして、自分の身体を観察する。すり切れ破れ、血が滲んでいるのは服ばかりで、身体の傷は見当たらない。折れていただろう骨も動かすことが出来た。

(治ってる……?そんな馬鹿な)

「コーン?」

驚きに言葉をなくした久遠を、キョーコは不安そうに伺う。

「あ、あぁ……ほら、大丈夫だろう?」
「元気になった?」
「うん」
「よかったぁ!」

感情がそのまま顔に出るのか、キョーコは満面の笑みで喜ぶ。
上の方で二つに結んだ黒髪がピョコピョコ跳ねて、そこからも嬉しそうなのが伝わってきた。
他人の状態に一喜一憂出来る、そんな感覚が蓮には新鮮で。

「なんで……そこまで……?」
「え?だって、コーンとっても苦しそうだったから」
「?」
「目を覚ます前ね、うなされてたの。だから、いたいのとんでけーって思いながらハンカチで拭いてたの。元気になってくれたら嬉しいでしょ?」
「そういうもの……?」

その時、遠くから「キョーコー」と誰かの声が聞こえてきた。

「あ、ショーちゃんだ!わたし、行かなきゃ!」
「そうか……」
「ねぇ、コーンの家はこの辺?また会える?」
「家は多分遠いけど……しばらくこの辺にいるよ」
「ほんと!?じゃあ、またここで待ち合わせね」

なぜ、ここに留まるなんて言ったんだろう。

「またね!」

ブンブンと手を振ってかけていったキョーコを見て。

愛おしいと。

「また、ね」

また、会いたいと思ってしまった。






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