正しい召喚のススメ 31


こんにちはこんにちは。
壊れたラミネーターを分解して組み立て直して無事復活させました珠々です。
事務作業とは、とか思いながらドライバーでネジ回してました。

ところで、ケータイを変えたのですが、今ってLINEのトーク履歴をバックアップしとけば引き継ぎ出来るんですね!
今まで泣く泣く消えていたトークが、今回無事に残せたので感動してました。
あ、私が知らなかっただけかな?昔からあったのかな?ドキドキ

そんなわけで、今回も召喚話の更新に参りました。
最近は更新すると拍手等で反応頂くのも早く、お待ち頂いてたのかな?と思うとやはり嬉しく気合いも入ります。
もう一息ではありますが、お付き合いくださると嬉しいです。

ではでは、続きよりどうぞー。













「ごめんなさい!!」

キョーコは土下座せんばかりの勢いで頭を下げた。


あの後、学校の屋上から蓮の転移魔法で自宅に帰りついた二人が部屋で目にしたのは、床に倒れピクリとも動かない社だった。
キョーコが傀儡によって施してしまった何かの影響なのは間違いなく。もしや取り返しのつかないことに……と、慌てて駆け寄った所、深く眠っているだけだと分かり安堵したのはつい先程。
罪悪感と安堵でボロボロと涙が止まらないキョーコを見かねて、蓮が社を叩き起こして現在に至る。

「大丈夫だよキョーコちゃん。ね、だからもう頭上げて」

メガネをかけ直しながら、安心させるように社は微笑んだ。

「その……お体にどこか変調は……」
「あぁ、へーきへーき。俺これでも丈夫だからさ」
「でもっ」

今は大丈夫でも、後々何かしら症状が出るかも。
事故の後のムチウチのような事を思いながら、社の身体を気遣うキョーコに、寝室を調べていた蓮が何かを持って戻ってくる。

「コレが原因ですね」
「それは……?」

蓮の手には、掌で包めるサイズの白檀の欠片があった。

「聖水で清めた香木でしょう。少し燻すだけで俺達には毒に……と言っても、この程度なら眠り薬がいいところですね」
「ほー。これを首謀者がキョーコちゃんに持たせてたのか。まったく、どこから仕入れたんだか」

清められたものを軽々しく持てる蓮もオカシイが、そもそも悪魔が取り扱える品でないはず。

「恐らく、あの幼馴染の彼が渡してたかと」
「え!?」

これにはキョーコが驚いた。

「なんでアイツがそんなもの……」
「彼の家が代々エクソシストだったのは知ってる?」
「え、えぇ!?そんな……私、一時期お世話になってましたけど、そんな素振り一度も……」
「まぁ、裏家業と言っても良いだろうね。表向きは旅館で、最上さんはそちらにしか関わってなかったんだから」
「は、はい……旅館のお手伝いをしてました……って、敦賀さんにこのお話しました……?」
「ん?」

きゅらりと眩しい笑顔を向けられた。

「……な、なんでもありません」

聞いちゃいけない気がすると本能が叫ぶ。
それ以前にキョーコにとって初耳なことばかりで、キャパオーバーでもあった。
触らぬ悪魔に祟りなし、である。

「で、彼は彼なりに努力して、それなりの技を身につけた。聖具や魔具の類いも手に入れやすかったんだろうね。そもそも、あのタイミングで現れるって不自然だっただろう?裏で繋がってたんじゃないかな」
「そう言われれば……」
「利害の一致だよ。どちらも俺を消したかった。ただ、彼は悪魔相手に最上さんを渡す気もなければ、俺がやられるとも思ってなかった。多少なりとも俺が弱ると踏んだ上で、自分で始末する予定だった」

事実、途中までは尚の筋書き通りの展開だったのかもしれない。

「で、結果がこうか」

成り行きを黙って聞いていた社が、事の顛末として蓮の姿を見る。

「社さんは驚かないんですか?」
「ん?」
「敦賀さんの見た目……」

漆黒の貴公子から妖精の王子への変貌はキョーコにとって衝撃以外の何者でもなかったのに対し、社は全く動じていないのだから思わず聞いてみたくもなる。

「あー。いや、俺達ってあんまり見た目は関係ないからさ」
「そうなんですか……?」
「うん。だって、人型からドラゴン型まで変化するやつもいるくらいだから。コイツなんてちょっと色が変わっただけだし」
「人を虫か何かみたいに……」
「はぁ……」

根本のスケールが違った。

「なにも別人になったわけじゃないんだ。蓮は蓮なんだから、キョーコちゃんもそう緊張しないで……って、そういえばそうか」

諭すように優しく話してくれていた社だったが、ふとあることに思い至る。

「二人の契約は消滅しちゃったのか」

蓮がこの姿になっているのがその証だった。

「はい……」
「じゃあ俺はお役御免って訳だな。……キョーコちゃん」

立会人の存在理由は悪魔と契約者の折衝にあった。それがなくなった今、この世界に留まる理由もない。
社は少しだけ残念そうに笑うと、おもむろにキョーコの頭をナデナデする。

「やっやしろさ……」

なんだか小さな子供にされているようで、恥ずかしいようなくすぐったいような。

「俺はもう帰らないといけないけど、キョーコちゃんのことは妹みたいに思ってたよ。……どうか元気で」
「社さん……」
「……さて、そろそろ冷気が刺さって痛いから行くよ」

別れの挨拶もそこそこに、社はパッと両手をあげキョーコから離れると玄関の扉へ向かう。

「じゃあ蓮、先に帰ってるからな」
「はい」
「キョーコちゃんも、じゃあね」
「あ、ありがとうございました!お世話になりました!」
「うんうん。良い報告楽しみに待ってるから」

良い報告?

キョーコの疑問は言葉になることなく、パタリと閉まった扉から、社の気配は完全に界を隔てた向こう側へ行ってしまったようだった。

「………………」

訪れる静寂。

キョーコはグッと拳を握ると、深呼吸を数度繰り返す。
そうして気持ちを落ち着けた所で、思いきって話を切り出した。

「つるがさん……」
「ん?」
「あ、あの……一つ確認して良いですか」
「なにかな?」
「敦賀さんには、私との契約は……負担になってた、んですよね……?」

迷惑だったのなら、どうしてまだここにいてくれるのか。
何が目的なのか。
包み隠さない、蓮の本音が聞きたかった。
だが、当の本人は目を僅かに瞬かせると「まさか」と真っ向から否定してきた。

「むしろ、君の所有でなくなったのが残念でならないくらいだよ。なんならもう一度契約する?」

蓮は優雅なエスコートそのままに、無駄な動きなくキョーコの手をとって唇を寄せる。

「へ!?」

待って待って!

「ちょ、ちょっと待ってくださいっ。だって、ショータローを利用して無理矢理解除させたんですよね!?」

それなのに、何故また不自由な身の上になろうというのか。蓮の行動の矛盾にキョーコは慌てて手を引き離して問う。

「あぁ……それはね、君の従属になるのは何の不都合もなかったんだけど」
「は、はい」

蓮は一度言葉を切ってクスリと笑うと、キョーコの瞳を覗き込んだ。

「一番最初の、君の願いが問題だったんだ」

何もかもを見透かされているような、碧の瞳に背中を押され当時の事を思い出す。

「……『友達になって欲しい』、が、ですか?」
「そう。……召喚時の願いは何より優先されるものでね。君の望む通り『友達』以外にはなりえなくなってしまった」
「……つまり?」

何が問題なのか。
キョーコの中で点と点は繋がらず、疑問符を顔に張り付けたまま続きの言葉を促した。

「つまり。それ以上の関係になりたいのに、その言葉が制約となって動けなかったんだよ」
「…………え」

凄いことを言われた気がする。

「ぇえぇぇぇぇ!?そっ、それいじょっ……!?」

生まれてこのかた「そういう」経験もなければ免疫もないキョーコだが、これはつまりなんと言うか、好意ある告白と同義だろうか。
だが、自分の何がそこまで良いと思って貰えたのかサッパリ分からなかった。

「あの……どうしてそこまで、私なんかを……」

すると蓮は笑って優しく語りだした。

「昔話をしようか」






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