正しい召喚のススメ 30

こんにちは珠々です。

体調不良から時間があいてしまいました。
休んだ分仕事が鬼のように溜まってしまい、余裕のない毎日が続き。。
ようやくこちらに顔を出すまでになりました。

ところで、花ゆめ本誌はご覧になりましたか?
こちらは遅配地域なので早売り地域より4日も遅れましたが昨日読めました。
あれですね。
新章が動き出した感じが良いですね!
キョコは無事に紅葉役ゲット出来るかなー。
個人的にクレパラの時みたいなアクションをやってほしい。
強いくノ一キョコ見たいー!!

と、そんな訳で。(どんな訳)

いつもご訪問や拍手、ありがとうございます。
反応頂けると、創作意欲が沸き上がりますよね。
本当に励みになります。

あ、くみさん体調のご心配ありがとうございました!もう大丈夫ですので(*´ω`*)(拍手お返事)

ではでは、もうしばしお付き合い頂きたい召喚話になります。
続きよりどうぞー。













どうしてアナタが。

サラリと揺れる髪色は金で、細められた双眸はどんな宝石よりも綺麗な碧。
それは、キョーコの記憶の中の「彼」と同じものだった。

「…………コーン……なの?」

スルリとこぼれおちた呟きに、向けられた本人は嬉しそうに肯定する。

「そうだよ最上さん」

ニコリと、邪気の無い微笑み。
恐らく普通の人間ならば一瞬で虜にされそうな眩しさと美貌は、魔性と言っても良い程。
しかし。

『最上さん』

優しい呼び方に、聞き馴染んだ低い声、色合いこそ違うものの、顔のパーツは寸分の狂いなく。

「で、も、つるがさん……?……あれ、え?」

確かに、蓮に違いなかった。

なにがどうなって、えぇ?

混乱の極み真っ最中のキョーコは纏まらない思考を更にかき混ぜ、坩堝に飲み込まれるようにぐるぐると目を回す。
大方予想通りの反応だったのか、蓮は苦笑しながらキョーコが落ち着くのを待つつもりだった。
が、すっかり忘れていた存在が呻きながら声をあげる。

「おま、え……何なんだよっ……!」

地に蹲り、苦しそうに顔を顰める尚は、眼光だけは鋭く蓮を睨んだ。
強すぎる魔性の力は、生身の人間にとって瘴気と等しく害となる。耐性のある尚だったが、それを遥かに凌駕する蓮の魔力にあてられ、立つこともままならなかった。

「何って、ナニが?」
「その……化け物じみた魔力……見た目も……」

優位を確信した直後の立場逆転は屈辱でしかなく、ともすれば気を失いそうな圧力に必死に抗う。
一体何が起こったというのか。
だが蓮は、アッサリと事も無げに告げた。

「あぁ。こっちが本当の俺だから」
「……は?」
「君が最上さんとの契約を切ってくれたおかげだよ」

曰く、これまでの魔力値は契約者に合わせてリミッターがかかっていたのだと。同時に容姿も多少変化していたらしい。
つまり、まだ未成熟なキョーコのため本来の力を何十分の一にも抑制して召喚に応じていたのが、今回尚の術によって解除されたのだった。

「そう仕向けたのは俺だけど、予想通りに動いてくれて助かったよ」

蓮は言葉の端々で、自分はキョーコに害成す存在だと尚に印象付けてきたが、この為の布石だったと暗に示す。
踊らされていたと気付いた尚は歯噛みするしかなかった。

「さっきのも演技かよ……!」
「弱って見せるのもなかなか上手かっただろ?こっちで役者でも目指そうかな」

蓮は楽しそうに微笑むと、一歩、尚へ近付く。

「さて、君の役目はもう終わった。部外者は消えてもらおうか」
「……俺を……殺すつもりか」

ヒタヒタと背後から忍び寄る何かを気力だけで押しやり、尚はキッと蓮を射殺すように見上げる。

「……キョーコに何かしやがったら化けてでもお前を殺す」
「出来るものならどうぞ」

蓮は飄々と受け流すと尚への距離をつめ、おもむろに尚の首根っこを掴み、容赦なく床に叩きつけた。

「……くっ」

硬い床に殴打されたかと思ったがそうはならず、いつの間にかポッカリと足元に広がった黒い影に尚の頭が埋まっていく。
体も同様にズブズブと沈み、やがて最期の断末魔のように尚の声が響いた。

「ぜってぇ祓ってやる……!!」

トプン。

声も、尚の体も完全に飲み込むと、黒い影はシュルリと渦を巻いて消えていった。
残ったのは、傍らに立ってそれを眺めていた蓮と、檻に捕まったキョーコだけ。
自然と訪れた静寂が二人を包む。
蓮はふぅと一つため息をつくと、ゆっくりとキョーコへ足を向け、そして、触れられる距離まできてジッとキョーコを見つめる。

これまで口を噤み、成り行きを見守っていたキョーコだったが、ここへきてようやく声を出すことが出来た。

「あ、の……ショータローは……」
「……彼は無事だよ。ここから離れてもらっただけ」
「そう、ですか……」

知らず緊張していたのか、ふにゃりと身体の力が抜けたキョーコは、相好を崩しホッとしてみせる。
だが、そんなキョーコの様子が面白くない男が一人。

「妬けるね」
「え……?」
「……俺より彼の方が心配?」

艶っぽくも切ない微笑で首を傾げる蓮に、キョーコは全力で答える。

「まさか!!そんなのあり得ません!!」

ブンブンと手を振り頭を振り、「あんな奴殺したって死にませんし!」と力説する。

「そ、それより、敦賀さんお怪我は……」

していませんか?と続く言葉は何故か言えなかった。

ジィーーーー

穴が開くんじゃないかと思える程、真っ直ぐに見つめてくる蓮の視線があまりにも熱っぽく、妙にいたたれない気持ちになる。

「あ、あの……?」
「……うん……ごめん、コレがあって良かったかも」
「へ?」

蓮は俯き加減に目元を覆うと、二人の間を隔てる光の檻を指して良かったと言う。
キョーコとしては早く出して欲しかったが、何か不都合があるのだろうかと疑問に思っていると。

「今、君に触れたらめちゃくちゃにしそう……」

とんでもないことを言われた気がした。

「……っっえぇ!?」

それはどういう!?

キョーコは生まれたての小鹿もかくや、な震えでもって数歩後退る。
ガクブルとはこういうことだろう。

「久しぶりに何の縛りもなくなったら、ストッパーがね……」

蓮は困ったように笑いながら、その実自制心をフル動員してキョーコを怖がらせないよう努めていた。

(……縛、り)

キョーコは蓮の言葉にピタリと動揺を止め、改めて考えを巡らせる。
縛り、とは、申し訳ないことに自分との契約で不自由を強いていたのだろう。
それが解放された今、何の目的でここに留まっているのか。
髪や瞳の色が、記憶の中のコーンと同じものなのは……。
いくら考えても、キョーコの中に答えが見つかるはずもない。
……聞いても良いだろうか。
グッと拳を握り締め、探るように。

「……あなたは、敦賀さん?……それとも、コーンなの……?」

キョーコの、恐る恐るといった声に、蓮は曖昧な笑みを浮かべた。

「ひとまず帰ろうか」

蓮がそう言うと、最後の砦として存在していた光の檻はパリンと脆く砕け散り、キラキラと乱反射しながらやがて一欠片もなく消えていった。

「話すよ、全部」

差し出された手を、ギュッと強く握ったのはどちらだったか。







スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する