正しい召喚のススメ 22


春ですね!!

いたるところで見事に咲き誇る桜を目にします(主についったで)
やっぱり薄桃でハラハラ舞うのが桜だなーと思ってしまいますね。
品種的に沖縄だとそういった姿が見られないのがちょっと寂しいかなぁ。

そしてうちは子供の入学式が明日に控えております。早く寝なきゃなんですが、書かなきゃいけない書類を忘れてて慌てて準備したがために夜更かしとなってしまいました。

今の仕事になってなかなか自由な時間がとれずに、創作もスローペースになってしまってます。
時間をおくと、凄く迷い始めてしまって、これで良いのかなと怖じ気付くこともしばしば。
まぁ、自分はそんな高尚なものでもないので結局はしたいようにするんですが。

最後まで頑張るー!

ではでは、続きよりどうぞ。












薄闇に浮かび上がる、白い肢体。
きめ細かい肌は未だしっとりと湿り気を帯び、触れれば吸い付くようで。
目尻から流れた涙の跡を、欲と懺悔を混ぜてペロリと舐めれば。
言い様の無い甘さが駆け巡る。
拘束していた細い手首をようやく解放すると、うっすらとついた赤い痣が逃げられない枷のようで、愛おしげに唇を寄せた。

『……抱いて?』

可憐な口からの、情欲の誘い。

『やっ……はぁ……んんっ!』

少し触れるだけで身悶え、しどけなく乱れる様は、強固なつもりの自制心をあっけなく崩壊させた。

首筋に幾重にも刻み付けた紅、控え目な膨らみ、くびれた腰、柔らかい太股を順に撫でる。


もっと。

もっと触れたい。

この先まで。

イイ……?


意識が浮上する気配もないのを良いことに、キョーコの膝に手をかけた。
その時。

「…………て……」

微かに、空気を震わせて声が届く。

「……た……すけ……つるがさ……」

瞼は重く閉じたまま、うわ言のように消え入るキョーコの心。

「…………コー………ん……」

ハラリと溢れた一筋の涙がシーツに吸い込まれた時、弾かれたように蓮は華奢な身体をかき抱いた。
力の抜けた身体は冷たく人形のようで、魂の所在さえ不確かな気がして。
熱を逃がすまいと抱き締める。

「……ごめん……っ……」

後悔しても、懺悔しても、伝えたい相手には届かない。
ただひたすらに、キョーコを温め続けた。

どれほどそうしていたか。
時間の感覚すら曖昧になる程、蓮は全神経をキョーコへ注いでいた。
ふと部屋の入り口に現れた馴染みの気配に、蓮は気怠げに顔を上げる。

「蓮……?」
「……やしろさん」

何があったんだと、社は眼鏡の奥で心配そうに眉を寄せた。






パタリと閉めたキョーコの部屋のドア。
蓮がツイと手を翳すと、内側でガチャリと細工の音が響いた。

「結界か?」
「はい……最上さんの方からは開かないようにしました」

家主であるにも関わらず、それはまるで一種の牢のようにキョーコの外出を防ぐもの。

「キョーコちゃんに何があったんだ?」

蓮の常ならぬ行動と雰囲気に、社は慎重に問う。

「……傀儡、ですね」
「なんだって?」
「心身を術者に操られてます。今は眠らせてますが、相当に支配が強い」
「なんでそんなことに……」

淡々と報告する蓮は感情を見せず、表情も変わらない。
境遇故のポーカーフェイスか。
社にはそれが逆に痛々しく映った。

「傀儡だなんて、何か精神的に追い詰められるような事がないと無理なんじゃなかったか?」
「精神的……」

社の言葉にハッとする。
学校で同じように操られた奏江が、蓮へ自らを差し出してきた。
昼間のアレをキョーコが見ていたとしたら。
見ようによっては、大事な親友を喰いものにしている非道に映ったのではないか。

「それが狙いか……」

どうりで。
キョーコの心に隙を作るためだけの、謂わば一時の人形で良かったため、奏江の術は軽くかけられていたのだろう。
姿の見えない敵に殺意しか湧かない。

「れ、れん?」

社が驚いた顔で蓮を凝視し、そして慌てだした。

「おまえ、血!!」

蓮は訝しげに社の視線の先、自分の口元を拭う。
ぬるりと赤黒い血が手を染めたが、無感情に眺め事も無げに言った。

「あぁ。大したことありません」

そんな訳ないだろう。社は口をついて出そうな言葉をぐっと堪え、代わりに深い溜め息を吐いた。

(キョーコちゃんか……)

チラリと閉めきられたドアを盗み見、同時に怒りが込み上げる。

「酷な事をさせる……」

もし、キョーコが正気に戻ったとしたら。
蓮を傷付けた事実にどれだけ心を痛め、自責の念に苛まれるか、想像に難くない。

「……毒か?」
「えぇ。残念ながら、この程度じゃ死んであげられませんが」
「縁起でもないこと言うなよ。動いて大丈夫なのか?」
「彼女の側にいると、回復が早いようです」
「そうか……流石だな」

蓮は大事ないと分かってホッと胸を撫で下ろすが、状況は最悪だ。

「とりあえず、キョーコちゃんはどうするんだ?まさかずっと閉じ込めたままって訳じゃないだろう?」
「……それも良いかもしれませんね」
「おいっ!」
「冗談ですよ」

目が本気だった。
そもそも冗談言うタイプじゃないだろと、社は怯えをひた隠してキョーコに同情する。
やだもうコイツ怖い。

蓮はそんな社の心中などお構い無しに話を進める。

「傀儡解除の方法を探します。俺は少し出掛けますから、社さん、留守をお願いしても?」
「あぁ、それは良いけど」
「ただし、最上さんが起きてもドアは開けないでください」
「分かった」

社に念を押して、蓮は影に消えていった。

長い夜が始まる。








スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する