正しい召喚のススメ 17


こんにちはこんにちは珠々です!
もう出来るときにやろうと思って参上しました。
Java疲れた頭パーンなる。(深刻な語彙不足)
問題読むだけで制限時間が過ぎそうな事案発生ですよ。
意味が分かりません。

さて、最近は蓮誕や短編の更新が続きましたが、連載の方もコッソリ進めてました(勉強はどうした)
お読み頂いてる旨のコメントも頂き、珠々はやる気に満ちております。
ちょっとでもお楽しみいただけるよう精進しますので、気長にお待ちくださいませ。



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正しい召喚のススメ 目次
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正しい召喚のススメ 1
正しい召喚のススメ 2
正しい召喚のススメ 3
正しい召喚のススメ 4
正しい召喚のススメ 5
正しい召喚のススメ 6
正しい召喚のススメ 7
正しい召喚のススメ 8
正しい召喚のススメ 9
9のイメージイラスト (桃色無印のきゅ。様から頂き物。素敵すぎて涙出ます)
正しい召喚のススメ 10
正しい召喚のススメ 閑話
正しい召喚のススメ 11
正しい召喚のススメ 12
正しい召喚のススメ 13
正しい召喚のススメ 14
正しい召喚のススメ 15
正しい召喚のススメ 16

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17は続きからどうぞ。












「お前が、キョーコ?」

いつの間にか背後にいた男が、愉しそうに嗤った。
黒い衣装を全身に纏い、僅かに覗く肌は血の気が全く感じられない程白い。長い前髪に隠れた瞳は冷ややかにキョーコを捕らえ、口の端をあげて妖艶に佇む。
そして何故かスルリと耳に入り込む低い声。

本能が警鐘を鳴らす。

この男は危険だと。

「……っ」
「あぁ。その警戒心……イイな」

うっとりと目を細めながらの不健康な呟きに、キョーコは鳥肌を立て後ずさった。

「い、一体アンタどこの誰なのよ!?」

気丈にも正面からキッと睨むが、男にとっては威嚇にもならない。

「俺はレイノ。お前の所にも似たようなのがいるだろう」
「似たようなって……あ、くま……?」
「ご名答」
「なんで悪魔が……私に何の用なのよ」
「世間話でも」
「い、いくら私が騙され安いからってそんな嘘っ……!」
「なんだ、自覚はあるのか」
「うるさいわね!」
「……騒音レベルならお前の方が余程うるさいと思うが……その口、塞いでやろうか?」
「やっ……!」

一瞬で間合いをつめ、レイノはスイと手を伸ばす。

(殺される!?)

体を強張らせ、目を瞑ったその時。

――――バチィ!!

何かが弾かれるような音と閃光が瞼の裏に届いた。

「な、に……?」

キョーコが恐る恐る目を開けると、レイノは無表情に伸ばした手を見下ろしている所で。

「……忌々しい」

自然と追った視線の先の男の手は、無惨にも切り刻まれ血が流れていた。
見ているキョーコの方が痛くなる傷に、思わず目を顰める。

「なんで……何が起こったの……!?」
「お前の悪魔がかけた結界だろう」
「結界って……と、とにかく、コレ!」

キョーコはレイノの手にハンカチを投げた。
布類とは思えない速度でベシャリと傷口に貼り付いたソレは、みるみる赤く染まっていく。
思いがけない行動に驚いて固まったレイノだが、すぐに復活し呆れたようにキョーコを見た。

「……お前、馬鹿だろう」
「か、勘違いしないでよね。そんな痛々しいもの見せられたくないだけよ」

つい条件反射でやってしまったが、よくよく考えれば敵に塩を送ったようなものかもしれないと苦しい言い訳が出てくる。
でも、酷い怪我を負ったのだからこれで帰ってくれればと、あえて強気に出ることで動揺を押し隠した。

「さぁ、私は敦賀さんが守ってくれてるみたいだし、観念しておとなしく帰りなさいよね!」
「……お前はやっぱり馬鹿なのか。頭の中はお花畑か」
「んなっ!?なんで今日初めて会った悪魔にそんなこと言われなくちゃいけないのよ!?」
「もしかして、何も聞いてないのか?」
「え?」

少し間を置いて、男は納得したと言う風に頷いた。
嫌な予感がキョーコの背中を這い上がる。

「なにを……」
「『どうして』だと思っただろう?」

――どうして。

「『自分の手に負えるはずのない悪魔が召喚されてしまったのか』」

――私なんかの所に来てくれたの?

「あれは、キョーコが喚び出したんじゃなく、アイツが自分の意志で現れたんだ。全てはキョーコ、お前の力が目的でな」

レイノが何を言っているのか分からなかった。
分かりたくなかった。

「……そんなの、知らない」

キョーコの中に、昏いナニかが入り込む。

「そりゃあそうだろう。何も知らされてないなら」
「違う、私、そんな力なんて無いもの……だって普通の召喚術だって成功したことない」

おかしい。
気持ち悪い。
心がかき回されるような感覚に、両手で頭を抱え何度も「違う」と首を振る。

「よく見てろ」

レイノはキョーコの目の前へ怪我をした腕を持ち上げ、赤黒く染まり出したハンカチを剥ぎ取った。

「傷が……」

夥しい出血が物語る、酷い裂傷のはずだった。
パックリと開いた傷口が、まるで早送りを見ているようにみるみる塞がり、そして痕も残らず消える。
キョーコはそれを呆然と見つめた。

「お前の側にいる影響だ」
「どういうこと……?」

困惑するキョーコを、レイノは小馬鹿にしたように嘲笑う。

「そこに存在するだけで他者の力を増幅させる、それがキョーコ、お前の能力だ」

だから傷が治ったのだと。

なにその便利アイテム。

キョーコの第一印象はそれだった。同時に、疑問だったモヤモヤがストンと落ちる。

「自分で使う魔術が上手くいかないのは、大きすぎる魔力を扱いきれていないから。……いや、わざとバランスが崩れるよう封印されてる?」
「なんで……」
「さぁな。とにかく、魔術も録に使えないんじゃ格好の的だったろう。労せず力が手に入る。敦賀蓮はそれに目をつけただけだ」

聞きたくないと、耳を塞ぐ事も、腕を動かすことも出来なかった。

――そっかぁ。

「結界も、お前を守ってるんじゃない。アイツから逃げられない、体の良い檻みたいなもんだ」

――優しい言葉も、温かい腕も。

「目を、覚ましてやろう」

――嘘だったのかな。

「悪い夢は終わる」










「あ、れ……?」

ぼやけた視界に、キョーコは数回瞬きをする。
いつの間にか寝てしまったようで、気付けば窓の外に見慣れたバス停が迫っていた。

「良かった、寝過ごさないで」

緩慢な動作で降りるためのボタンを押す。

「わたし、どうしたんだっけ………」

ぼんやりと霞がかったように、バスに乗ってからの事が思い出せなかった。

「……なにか」

忘れてるような、気がする。

キョーコは覚束ない足をなんとか動かし、バスを降りる。
ステップから地面に足が着くか着かないかのタイミングで。

「お帰り、最上さん」

フワリと抱えられ、キョーコの体は宙に浮いたまま拘束された。
さらに力強い腕が上手く体勢を整え、横抱きにされる。

「つ、つるがさんっ……!?」

(恥ずかしいから下ろしてぇぇぇ!)

「ん?」

抗議の声をあげようとしたが、蓮の嬉しそうな眩しい笑顔に「下ろして」の一言を言う気が急速に萎む。

「……ただいま、です」
「うん。お待ちしてました」
「お迎え、ありがとうございます」

頬を染め、上目遣いで見上げるキョーコに、思わず力いっぱい抱き締めてしまった蓮を、誰が責められようか。

「や、やっぱりおろしてくださいぃぃぃ!」

一度はしまった言葉が叫びになって夜空に響いても、それが叶うことはなかった。




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