正しい召喚のススメ 13


寒いですねこんにちは。
本誌発売ですが、みなさま御覧になりましたか?

うちはまだ店頭に並んでもいません!早くして船便!

どうやら尊いキョコたんがいるようで、早く読みたい限りです。
敦賀さんもしばらく出てなかったからなーどうなるんだろう(ドキドキ)

さて、しばらくパラレルの更新にいきたいと思いますのでやって参りましたよ。
過疎地域も真っ青なくらいの辺境な我が家ですが
それでも訪問してくださる方や拍手ポチまでしていただける方など
皆さまの優しさに温かくなります。
やっぱりちょっとでも反応があると嬉しいですね!

あ、目次について特に不要な反応もなかったのでしばらく載せてみますね。


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正しい召喚のススメ 目次
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正しい召喚のススメ 1
正しい召喚のススメ 2
正しい召喚のススメ 3
正しい召喚のススメ 4
正しい召喚のススメ 5
正しい召喚のススメ 6
正しい召喚のススメ 7
正しい召喚のススメ 8
正しい召喚のススメ 9
9のイメージイラスト (桃色無印のきゅ。様から頂き物。素敵すぎて涙出ます)
正しい召喚のススメ 10
正しい召喚のススメ 閑話
正しい召喚のススメ 11
正しい召喚のススメ 12

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13は続きからどうぞ。















帰宅したばかりのキョーコは、とりあえず制服から普段着に着替えリビングに戻ると、蓮が手際よくコーヒーを入れてくれていた。

「勝手にキッチン使って良かったかな」
「勿論! ……ありがとうございます」

ふわりと芳ばしいコーヒーの香りに満たされた室内は、これまで一人暮らしが常だったキョーコに温もりと安心をもたらす。
コトリとテーブルにカップを置きながら、蓮はキョーコに椅子を勧めた。

「それで……最上さんは何もされなかった?」
「は、はい! 私の方がお節介を焼いてしまったというか……」
「?」
「魔王さん、お孫さんへのプレゼントを水溜まりに落としまったんです。それで代わりに、今日作ったクッキーをお裾分けしたんですが……」

そこでキョーコは、背中に隠していたクッキーの包みを蓮に差し出す。

「敦賀さんへ焼いたクッキーだったんですが、多く作り過ぎてしまって。お孫さんも小さな女の子のようだったので少しは足しになるかもと思ったんですが……よく考えたら魔王さんってくらいだから私じゃ想像も出来ない様な豪華な物召し上がってますよね!?」

あわわ逆に失礼だったかなと慌て始めたキョーコに、蓮は大丈夫だよと優しく微笑んだ。

「こっちの食文化が入ってきたのは最近なんだ。お菓子だって、まだまだ一般的ではないからね。きっと喜んでくれるよ」
「そうでしょうか」
「うん、絶対ね。……コレ、食べても良い?」
「ど、どうぞ。お口に合えば良いのですが」

キョーコからの了承を得ると、蓮は丁寧に包みを開け一つを口に運ぶ。
サクサクと軽い音を奏で、咀嚼されていくクッキー。

「ん。美味しいね」

コクリと嚥下し、蓮は素直に味の感想を述べた。

「あはは、良かったです」

それにほっと一安心するキョーコだったが、蓮のペロリと指を舐める舌の紅さや仕草が妙に色っぽく見え、野生の本能なのか咄嗟に目を反らす。
しかし、それを面白く思わないのがこの悪魔。

「……でも、少しだけ残念だな」
「え?」

声のトーンを落とし、キョーコの顔を上げさせると、スルリと距離を詰めた。

「君が作ったものなら、一つ残らず食べたかったのに」

キョーコの頬に手を添え、耳元で低く囁く。心に直接響くような、ゾクリとする声音は、聞く者の抗う思考を根こそぎ奪ってしまう。
並の人間であれば、身も心も差し出してしまうだろう絶対的な力。

「そ!? そそそそんな大層なものではないですよ!? それにほら、いっぱいありますし!」

ガタガタと椅子ごと後退りしながら、蓮の手から逃げるキョーコ。
その顔は羞恥と混乱とが入り交じった、赤だか青だか分からない色をしていた。
今にも目を回してしまいそうなキョーコに蓮は一瞬目をみはるが、毒気を抜かれたように「ありがとう」と微笑みかける。

(男慣れ、してないんだなぁ……)

馬に蹴られて殺されたくない社は、しばらく二人の様子を眺めていた。ワタワタと動揺するキョーコは純粋に可愛いと思えたし、蓮に到っては穏やかモードに戻っているし。
しかし、あまりにキョーコを見つめすぎると目の前の男から物騒な気配が飛んできそうなので、社は早々に話題を切り出すことにした。

「ところでキョーコちゃん、魔王様とはそれだけだったのかな」

それまで二人だけの見えない壁があったようだが、社の言葉でキョーコがハッと背筋を伸ばす。

「あの人が考えもなしにキョーコちゃんに接触するとは思えないんだよ」
「……あ! そういえば……これ、渡すように言われたんです。いつの間にかポケットに入ってました」

ごめんなさい、とキョーコが謝りながら、魔王からの手紙を蓮に渡した。
蓮と社にとっては見覚えのあるモノで、確かに魔王本人が封をしたのだろう。ほんの少し指先に魔力を込めると、印璽された蝋がジワリと溶けて中身を晒した。
わざわざ回りくどい方法で伝えようとしたのは何故なのか。
真っ白な紙に走り書きされた言葉が二人の目に飛び込む。


『独占欲が強い男は嫌われるぞ』


「………………」
「ぶはっ……!」
「や、社さん?」

社が我慢出来ずに吹き出し、肩を震わせてテーブルにもたれ掛かった。
キョーコには手紙の文字は読めなかったが、突然の社の反応に驚き、とりあえず落ち着かせた方が良いかと背中をさする。

「くっふふっ……いや、ごめん、何でもないんだ」

未だに腹筋が痛いが、キョーコの手のぬくもりを背中に感じた社は、隣の男の狭すぎる心を思い何度か深呼吸して平静を取り戻す。

「まったくあの人は……」

蓮からすれば面白くない。キョーコを愛しいと、自分だけが愛でたいと思う気持ちの何が悪いのかと憮然とした面持ちで手紙を見ると、その下にもう一枚隠れている事に気付いた。
紙も文面も一枚目と変わらない。
ただ一言。


『大事なものほど失う』


蓮は深い闇を湛えた瞳で見下ろすと、手紙をクシャリと握りつぶし、一瞬で消し炭に変えた。




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