星への願いは何処に託す?

お久しぶりでございます。生きてました、珠々です。

いえ、もうほんと、ここまで潜ったのは初めてでしょうか…(だって前回があけおめ)
いかんせん日々の仕事や家事や子供の行事に追われておりまして体力が赤ゲージで寝落ちの毎日でございました。
それでも隙間時間は多少なりともあったはずなんですが、皆様ご存知でしょうか、刀剣乱舞。
今話題ですよねーカッコイイですものねー。
名のあるスキビマスター様方もプレイしていらっしゃるようで、楽しそうにワイワイされてますと、やっぱり興味が出てきまして。
やってみましたよ、審神者。
しかしながらそこはブラウザゲームなので、やっぱりPCに向かう時間は毎日捻出するのも一苦労で、楽しんで触ってはいますが本気で沼に嵌ってる方たちと同じ深さには行けないと思うので、マイペースにやっていこうと思います。
そこで最近思うのは、取捨選択をしなければ。ということ。
時間は平等なんて言いますが、そんな訳ないですからね。
やりたいこと全部は出来ないのだから、自分の中の優劣をつけながら選ぶしかないわけで。

ってなんかややこしい事言ってますが、結局はスキビが大好きってことで〆たいと思います!

そして今回大遅刻も大遅刻の七夕なお話になりました。(今日7/10。。)
しばらくまともに文章を書いてなかったのでリハビリですかね・・・
全然ロマンチックな話ではないのが申し訳ないのですが!

あ、あと。更新がない間も拍手やコメントありがとうございました!
音沙汰がなさすぎてこちらも申し訳ありませんです!ほんと、思い出した頃に覗いて頂ければ丁度いいくらいですよねハハハ
なんとか・・・年内には連載も終わらせたいなぁ・・・


では、続きよりどうぞ。













「解せないわ……」

カレンダーは七の月。
まだ明けぬ梅雨のジメジメはあるものの、夏の訪れを間近に感じる事が出来るそんなある日。

眉間に深い皺を刻み、LME事務所ロビーに佇むキョーコの姿があった。
目の前には遥か頭上まで青々と伸びる、笹。
一体どこから仕入れたのか、豪奢な笹がサラサラと葉を揺らす。
よく言えば風情がある、悪く言えば鬱陶しい植物が幅をきかせて陣取っている、キョーコには後者にしか思えなかった。
なぜ、こんなものがここに?
それは考えるまでもなく、何かとイベントに全力を注ぐご存知社長の一言から、七夕の名物「短冊に願い事」を書いて笹に飾るべしとの御触れが出たのだった。

「あれ、キョーコちゃん?」
「最上さん、おはよう」
「あ。おはようございます、敦賀さん、社さん」

爽やかに登場した看板俳優に、実は二枚目な社が付き添うのはいつものこと。更に言えば、キョーコのスケジュールをある程度把握しているのも、「敦賀蓮」のマネージメントをする上で最早必須となっていた。
心の潤い、だそうだから、社としても蓮の精神安定に一役買うのは業務遂行のための努力と言ってもいいかもしれない。
そしてここでお邪魔虫となるわけにもいかないのだ。

「悪い、蓮。忘れ物したみたいだからちょっと戻るよ。少し休憩しててくれ」
「分かりました」

敏腕マネージャーの心配りを有り難く頂戴して、蓮は想い人へ向き直る。

「それで最上さん、こんな所でどうしたの?」

なにくわぬ顔で遭遇した蓮からの純粋な質問に、キョーコはおずおずと答える。

「これ、書いて飾らないといけないんです」
「あぁ、短冊」
「はい。でも……いまいち乗りきれないというか……」
「どうして?」
「……願い事を書いたとして、誰が叶えてくれるんですか?織姫サマ?彦星サマ?」

ポツリと溢すように、何の繕いもなく思ったままを言葉に乗せた。

「敦賀さんもご存知だとは思いますが、この二人は恋だの愛だのにかまけて仕事をサボってたから、罰として引き離されちゃったんですよ」
「まぁそういう話だけど……」
「恐ろしい!恋愛脳ってのはとことんはた迷惑な代物です。そんな二人が1年に1回の逢瀬で、自分たち以外の存在が目に入ると思いますか!?」

私は思いません!
拳を強く握り、その演説に力を込める。

「よって、いくら願いを書いたところで空には届かないんです。願いなんて……叶わなくて当然。いくら祈っても、誰かが何とかしてくてるなんて希望的観測、私は持ち合わせていません」
「……そうだね。それも一理あるかもしれないね」
「え」

キョーコは同意を得られると思っていなかったため、間抜けな表情で蓮を見返した。
蓮は蓮で、ニーッコリと笑顔でキョーコの視線を受け止め続ける。

「ようするに、聞いてくれもしない相手に叶いもしない願い事を書くのが不毛なんだろう?」
「言ってしまえばそうですが……」
「じゃあ、『俺が』最上さんの願いを叶えるっていうのはどうかな」
「えぇ!?」
「って言っても、俺の出来る範囲内でね。何かあるかな、俺がしてあげられること?」
「そそそそんな滅相もございません!!」

キョーコは恐怖に戦いた。七夕にちょっとした不満を溢したばっかりに、大先輩である蓮にとんでもない事を口走らせているのではないか。

「……実はね最上さん。俺もまだ短冊に願い事書けてないんだ。だから、俺も最上さんにしてもらいたいことを書く、でフェアにならない?」

蓮は困ったように笑いながら、交換条件でどう?と、キョーコを伺う。
大いに悩んだものの、先輩にここまで言って貰って無下にするわけにはいかなかった。

「…………分かりました。私ごときが敦賀さんのお役にたてるか分かりませんが、精一杯お役目努めさせて頂きます!」
「良かった。じゃあ今からお互い書いてみようか」




10分後。
再び笹の前に集合したキョーコと蓮は、早速件の短冊の披露をすることに。

「じゃあ、最上さんから見せてもらっていいかな?」
「あ、はい。私が敦賀さんにお願いしたいのはこちらです」

普通の女の子ならば、現実的なお願いとなると、欲しい物をねだるなり、行きたい場所に連れて行って欲しいなり、ある程度予想もつけられるが、一筋縄ではいかないのがこのラブミー部員。果たしてキョーコの願い事とはどんなものだろう。
蓮としては、密やかに想いを寄せるキョーコからのお願いならば、何が何でも遂行するつもりだった。
ところが、遠慮がちに出された短冊には綺麗な字で一言。

『ちゃんとご飯は食べてくださいね』

「……これ?」
「はい!魂込めて書かせて頂きました!」
「俺に、ってことだよね?」
「他に誰が?」
「いやでも、これだと最上さんのためにはならないんじゃ……」
「何を仰いますか!」

クワッ!  と擬音が見えそうな形相で、キョーコは蓮の戸惑いを一喝する。

「良いですか?この業界、体が資本ですよね」
「それは勿論」
「敦賀さんには、この先もずぅっと第一線でご活躍して頂きたいんです。私はそんな敦賀さんを目標に、いえ、人生の道標にしたいんです。つまり、敦賀さんの健康維持は役者として生きる私の願いになるわけなんです」
「そう言って貰えるのは有難いんだけど……まぁ、丁度良かったかな」
「へ?」
「俺はこう書いたんだよ」

キョーコの持論を受け止めた蓮は、次に自分の書いた短冊を差し出す。

『これからも君の料理が食べたいな』

正直、自分ごときが蓮のお願いを叶えられるだろうかと不安があったキョーコだったが、思ったよりも実現可能なものでホッとした。

「敦賀さんから食事のご希望が出るなんて!僭越ながら不肖最上キョーコ、精一杯挑ませて頂きます!その大きな体を動かす栄養、叩き込みますからね」

また、これまでも幾度となく蓮へ食事の世話はしているのだから、これなら大丈夫だと自身満々に胸を叩く。

「……ずっと?」
「勿論、ご希望があるならいつでも馳せ参じますよ!」
「そうか……うん、そうだね。楽しみにしてるよ」
「?」

何か含みはあったものの、蓮の嬉しそうな笑顔を見ると何も言えず、すぐに社が戻って来たこともあり、それぞれ短冊を笹に結って解散となった。



七月七日。

「あれ、モー子さん? ど……どうしたの?」

今日も今日とて事務所を訪れたキョーコの目に飛び込んできたのは、久しぶりに会う奏江だった。
普段ならば思いの丈をこめた抱擁を全力で実行する所だが、奏江の剣呑なオーラを前に諦める他ない。

「……どうしたもこうしたもないわよ」

奏江の視線の先には、先日キョーコも苦々しい思いで見上げ、同時に蓮と短冊を書いた記憶も新しい、あの笹があった。

「社長から直々に通達があったのよ。七夕のイベント、参加しないとどんな恐ろしい試練があるか……」

奏江もまたラブミー部員。世に存在するイベントを避けて通る節があるのはお見通しなのか、社長から釘を刺されたのだろう。

「じゃあ、モー子さんも短冊を?」
「……さっさと用を済ませて仕事に行きたいのに、あの人だかりじゃ近付けもしないわよ」

見ると確かに妙な人だかりが出来ている。しかも、女性ばかり。きゃあきゃあと騒がしく、そしてその色は決して明るいものではなかった。

「なんであんなに……」

まったくもって不可解な現況に、思わず疑問が滑り落ちる。答えを求めない独り言だったのだが、僅かな無言の後に奏江が口を開いた。

「敦賀さんのことみたいよ」
「え?」
「敦賀さんに恋人がいるんじゃないかって騒ぎになってるのよ」

敦賀さんに恋人。

それはキョーコの心を軋ませるのに十分だった。
いつかはと覚悟していた。いや、していたつもりだった。

「そう……なんだ」

キョーコは精一杯の演技で平静を保つが、果たして奏江に誤魔化せただろうか。

「まぁ、『これからも君の料理が食べたい』なんて、恋人にって言うより、もうプロポーズみたいなもんよね」
「…………え……」

一瞬真っ白になりかけた頭に、強制的に鳴り響く奏江の声。それはするりと耳に入ってくるのに、意味を理解するまで時間を要した。

「で。敦賀さんにご飯を作って食べてもらえるなんて人間、私の知る限り一人しかいないんだけど」
「モ、モー子さん……。あの敦賀さんの短冊にそんな意味はないんじゃ……」

奏江は腕を組みながら、深く深くため息を吐く。

「観念したほうが良いんじゃない?」

その言葉を最後に、時間が差し迫っているのかスタスタと歩きだした奏江。人混みをかき分けて笹に到着すると、持っていた短冊を結んで速やかに行ってしまった。

残されたキョーコは、提示された可能性の否定も弁明も出来ず、消化出来ない気持ちは悶々と渦巻いていたが、唐突に鳴り出した携帯電話に意識を引っ張りあげられ、恐る恐る着信ボタンを押す。

「は、はい、最上です」
『最上さん?お疲れ様。今から時間大丈夫?』



芸能界一イイ男・敦賀蓮と、新進気鋭の若手女優・京子。
二人揃ってキッチン用品の買い物姿が目撃され、結婚秒読みかと憶測が広がるのは、もう少し先のお話。



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