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正しい召喚のススメ  11

こんばんはー。
とうとう冬将軍来たっぽいですが、皆様の所は大丈夫でしょうか。
ニュースなんかでは雪が轟々としていて見ているだけで冷えてきます。
先日まで0度近い温度なんかを体感していたものですから、こちらの冷え込みにはまだ「全然大丈夫」と余裕かましてますが、そのせいか風邪っぽい何かにかかってます←
おかしいな、鼻水が止まらない。
風邪なのか鼻炎なのか違うアレルギーなのか。
まぁとりあえず日常には支障がないのでティッシュの消費が激しいってだけでしょうか。(本気で鼻セレブを検討しようかしら)


そんなこんなで召喚話の続きです。
数か月間を空け、閑話なんかも挟んじゃったから何がなんだかだと思うのですが、こんな話もあったなーくらいに軽く読んでいただければ幸いです!(もっと文章力が欲しい!!><)

では続きよりどうぞ。
















「お嬢様じゃないの?」



藪から棒。


寝耳に水。


青天の霹靂。



キョーコの脳内に閃いては消えた諺たち。
先人の言葉は本当に言い得て妙だと、この時程実感したことはなかった。
憧れは勿論あるし、そんな星のもとに生まれてみたいと思ったこともある。
でも現実は違う。

「え、違うの?」
「違うも何も、どこからそんなビックリ話が飛び出てきたのか……」
「だって七倉さんが」
「七倉さん?」

今日は休んでいる彼女の名前があげられた。キョーコ首を傾げ、その先を促す。

「『最上さんは不破くん目当てで入学したお嬢様だから』って」

文字通り、空いた口が塞がらなかった。

「『魔力もろくにないくせに金にモノを言わせて試験をパスした』とか」
「なっ………………」
「『寮だって、私たちと同じが嫌だから別荘を借りてる』とか」
「……………………」

いよいよ絶句するしかなかった。
彼女らの口から出る「最上キョーコ」は別人ではないかと思うほど捏造されたもので、情報の出所は七倉美森だという。

(あー……何か分かってきたかも……)

尚と親しげに話すキョーコが目障りだったのだろう。
実際には幼馴染みであることも公表していないし、そこまで心砕いて話すことも無かったはずだが、七倉にとって看過出来ない何かがあったのかもしれない。
キョーコ本人と接触する前にマイナスの情報を流布されたクラスメイト達は、真偽如何よりも興味対象となり遠巻きに静観していたのだという。

ところが、それが崩れた。

原因は昨日の実技。キョーコが蓮を、しかも恐らく最難度のレベルであろう悪魔を喚び出したことで、七倉の証言との食い違いが顕になる。
一つ綻びが出来ればあとは簡単なもので、噂が作った虚像はあっけなく霧散した。
キョーコは頭を抱えながら、知らない内に広まっていた噂をひとつひとつ否定していく。
実際にはお嬢様どころか、奨学金を貰いながら節約のため寮費の格安な遠い森中の家に暮らしていると言うのに。
好き勝手言ってくれた七倉にも腹は立つが、それもこれも大元の元凶は尚にあるのだと怨みを一層募らせる。
怨念の一つや二つ飛ばしてやろうとしたが、そういえば今日は尚も休んでいたはずだと思い出した。
昨日の今日で顔を合わさずに済んだとホッしたのは今朝の事。
中途半端に頭からひょこりと湧き出た怨キョを引っ込めようとしたその時、仕掛けていたオーブンから「チンッ」と軽快な音が響いた。
焼きあがったクッキー独特の甘く香ばしい薫りが辺りに漂うと、キョーコはミトンをはめ、手際よくオーブンから完成品を取り出し味見で一つ口に放り込む。

「ん」

サクリと程よい食感と味に及第点を付けると、ラッピングを施しながら、食べさせたい相手へ思いを馳せた。







『キョーコちゃんの魂の資質が原因じゃないのか?』

昨夜、立会人である社に言われた言葉が蓮の頭の中で再生される。
目の前では下級悪魔が一匹、また一匹と蒸発していくが、どこから現れるのか一向に数が減る様子はない。

『…………』
『沈黙は肯定と捉えるぞ』
『社さんが言う最上さんの資質って何なんです?』
『……他者へ甚大な影響を与える“魔力干渉能力”。そんな稀有な力、文献でしか見たことないけど、キョーコちゃんがそうなんじゃないか?』

人型もとれない異形の悪魔。自分のみならずキョーコにまで害を成そうと襲いくる者を薙ぎ払う事に一切の躊躇いもなかった。
断末魔も消え失せる程、圧倒的な力の差で敵を殲滅させると、ずっと感じていた不愉快な気配のする方へ視線を向ける。

「……いい加減、出てきたらどうかな」
「……化け物め」

ジャリ、と物陰から出てきたのは、キョーコの幼なじみである不破尚だった。
忌々しげに睨まれ放たれる殺気を、蓮はどこ吹く風と受け流す。

「君だろう。先ほどからの不自然な襲撃の犯人は」
「それがどうした」

妙に統制の取れた敵の動きは、自分勝手な下級悪魔が取るとは思えないものだった。
何者かの意思が働いている。そこに居合わせた人物が首謀者なのは火を見るより明らかで、更に当の本人は隠すこともしていない。

「悪魔祓い師が聞いて呆れるね。転職した方がいいんじゃないか?」

悪魔祓い師。エクソシストと呼ばれる彼らは、悪魔退治を専門とする様々な術の使い手だ。
尚の家業が代々ソレに当たり、キョーコには表向きの旅館業という事しか伝えられていなかった。
今回の件は恐らく、下級な悪魔を捕まえて「見逃してやる代わりにアイツを殺せ」とでも命令していたのだろう。

「知ってたのか……じゃあ俺がこれからどうするかも分かるよな」
「俺を、祓うつもりかな?」
「ったりめーだ!よりによってキョーコなんかに憑りつきやがって。どうせ喰い物にして殺すつもりだろうが、そうはさせねぇ」

尚が叫ぶなり、足元から光の筋が幾つも這い、魔を浄化する陣が円状に形成される。
持て得る力全てを注いでいるのだろう尚のとは対照的に、蓮は酷薄とした笑みを浮かべ焦る素振りも見せない。

「君が彼女を守るって?彼女の心を切り刻む言葉を吐く君が?」
「……あいつが泣きついたのかよっ」
「まさか。傷付きながらも一人で抱え耐えていたよ。泣きつくどころか、それすらも成長の糧にしようともがいてね。容易く折れそうなのに、懸命に立ち上がろうとする魂には敬意を払うよ」
「あいつを知った風な口っ…………っ!?」

空気が変わった。

「そう。だからね」
「ぐ……っ…………!?」

蓮が腕をツイと上げると、威勢の良かった尚は途端に顔色を変え苦しみ出す。
足元の魔法陣も溶けるように崩壊し、効果を発揮する前に役目を終えた。
首や胸から何かを取り出すよう必死に引っ掻くも、体を蝕む苦痛は取り除かれるどころか更に威力を増して尚を襲う。

「俺は君が心底邪魔なんだ。闇に閉じ込め永遠の苦痛に苛まれ、死を望んでも叶わないような絶望を与えても足りない」
「……か…………は……」
「人間は脆いね。俺が少し力を込めるだけで簡単に君の心臓くらい潰せる」

蓮は膝から崩れ落ちた尚を無感情に見下すと、深く溜め息を吐き自身の黒い衝動を抑える。

「でも、それを彼女は望まなかった」

目を閉じ浮かぶ、ただ一人の存在の為に。

「忘れることも、君を消すことも望まずに。なんて気高く慈悲深い、愚かな人間なんだろうね」

尚を拘束し、呼吸の自由すら奪われていた魔力が唐突に消える。
蓮にとって何より優先すべきキョーコの意に従った故の解放だった。
激しく咳き込み、目眩で視界も覚束無いだろう尚は、それでも眼光鋭く蓮を睨む。

「ゲホッゲホッ……!……それで……キョーコの魂は美味かったかよ……」

悪魔との契約。
その代償。
キョーコが捧げているモノ。

「あいつが明らかに衰弱してるのはどう考えてもお前が原因だ!表面では従順に見せといてジワジワ貪り殺すんだろ」
「……君に伝えられないのが残念だ」
「あ?」
「あの、とろけるような極上の魂の味。彼女が放つ馨しい甘さに自制が利かず……喰べ過ぎてしまうからね」
「それがてめぇの本性かよ……!」
「彼女が俺を求めるんだ。相応の対価は貰って当然だろう?」

嘲る笑みを湛え蓮は空を見上げると、もう用はないとばかりに踵を返し歩き出す。

「そろそろ主の帰宅の時間だ。これ以上君と遊んでいる暇はない」
「待ちやがれ!」
「断言しよう」

追い縋る尚へ再び向き直った蓮が放つ。

「君に彼女は守れない」

断罪の、言葉。

「ぜってーぶっ殺す……!」
「……早くしないと、俺が彼女を喰い殺してしまうよ?」

最後に残したのは妖艶な笑みと宣戦布告。言うなり蓮は空気に溶けるように跡形もなく消えた。
まるで最初から居なかったように、その場にはただ森の気配が広がるだけ。

「くそ……くっそぉぉぉぉぉ……!!」

未だ立ち上がれない体のダメージが、圧倒的力の差が、尚に現実を突きつける。
血の滲む拳を振り上げても、何も変わらない。
何も、出来ない。

無力さが、心に闇を作り、魔を呼び寄せる。







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コメント

悪魔だということを読んでいると忘れそうになります。
おいしい魂、、、二人にハッピーエンドはあるのかしら?
楽しみです!

Re: タイトルなし

ケロ様

またまた放置甚だしく申し訳ありません><;

キョコの魂はきっと絶品のはず……と思ってます!
どこまで美味しそうに表現出来るかの挑戦ですよね←
二人にハピエンが来るのかどうか、、ちゃんと完結させられるよう頑張りますね!

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