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【ただいま(おかえり)企画】箱入り役者

たいっへんお久しぶりでございます。

前回しばらく沈みます宣言をしていたものの、ここまでトップリ這い上がれないとは自分でも予想していませんでした。
お休みのキッカケとなったツワリですが、現在ではだいぶ落ち着きなんとかご飯も食べられるようになってきました。むしろ食べ過ぎ←
実は無理が祟ったのか絶対安静or入院と言われてしまった期間もあったのですが、まぁぼちぼちな感じです。

さて今回は久方ぶりの短編更新に参りました。
「ROSE IN THE SKY」のえみりさん発信の「ただいま(おかえり)企画」に参加させていただくことになりました!
いえ、実は本誌発売まで1か月半あるので、その間みんなでカインと雪花フライング再会させちゃおうぜってことだったんですが、バッチリ発売日に着地となった遅筆ぶりで本当もう土下座ものなのです。
ちなみにここまで書いてアレなのですが、本誌ネタバレ含みますのでコミックス派の方はご注意ください。

あ、ここまで沈んでいる間にも拍手ならびにコメントありがとうございます!!
近いうちにお返事させて頂きますので><;

久しぶりすぎてなんだか上手く書けなかった感満載ですが、それでも大丈夫よという優しい方。
続きよりどうぞ。


















――――足りない。

絶対的に、いっそ必要不可欠となってしまった存在が。

「潤い」

そう言ったのは誇張でも何でもなくて、ひたすらに、渇く。

声が聴きたい。

柔らかな肌に触れたい。

ただ、逢いたい……。







シャワーの音が遠くに聞こえる。
熱いのか冷たいのかもわからない。
肌を流れる感覚ですら、一枚布を隔てたように朧気だった。

あの娘がいた頃は無駄に長い入浴時間で呆れられたこともあった。
むしろ反応を楽しんでいたかもしれない。
心配なのだろう、たまに様子を見に来た時には。

『兄さん……体ふやけちゃうわよ?』

溜め息をつきながら、セツとして兄に向かう姿勢は一貫していた。
堂々とシャワーカーテンを開ける潔さに、
もう少し男として意識してくれても良かったのに、なんて我が儘言えるはずもなかったけど。

濡れた体を乱雑に拭き、バスルームを出る。
暗く落とした照明、色のないホテルの一室。
誰もいない、温もりのない部屋。

……の、はずだった。

自然と向けた視線の先、俺のベッドの上に。

求めてやまなかった彼女が、そこに居た。

「……なっ…………」

思わず、息が止まる。

ただ、出迎えてくれたのはあの勝ち気な瞳でも蠱惑的な声音でもなく、静かな寝息。
俺が起きて乱れたままだったシーツにくるまって、規則的に呼吸をしていた。

「……セ、ツ……?」

自分でも驚くほど、発した音が掠れる。
当然そんな声が彼女に届くはずもなく、僅かな身動ぎもせずに眠ったままだ。
あまりにも稀薄な気配に、これは俺の願望が見せる夢か幻だろうか、なんて馬鹿な考えが脳裏を過った。


震える手でそっと、触れてみる。

あたたかい……。

確かに感じる体温と、柔らかな感触。

紛れもなく実体で、本物だった。


「……んぅ……ん……にい、さん……?」

情けなくも逸る衝動が手から伝わったのか、気持ち良さそうに眠っていた妹を起こしてしまったらしい。
もそりと動いたかと思うと、その愛らしい唇から待ち望んだ声が発せられた。
次いで薄く開いた瞼から覗く潤んだ瞳がぼんやりと俺を捉える。

「……セツ」

兄と妹、病的なまでにお互いを求めてきた二人が、ここまで距離をおいたことはなかった。
それが突然帰ってくるに至ったのは何故なのか。
そして、目の前の彼女はどんな反応を見せるだろう。
感動的な抱擁でもしてくれるだろうかと、柄にもなく緊張していたのかもしれない。
俺はベッドに腰掛け、少し前まで当たり前のように触れていたセツの髪をサラリと梳いた。
心地がいいのか、目を細めそのまま甘えるようにすりよる。どれくらいそうしていたのか、満足した様子のセツは緩慢な動きで上体を起こし「んーっ」と背伸びをした。

「おはよ」

コテンと首を傾げ、まずは寝起きの挨拶を述べる。深夜の時刻にそぐわしいとは言い難いが、関係ないらしい。

「ビックリさせようと思ったのに、兄さんお風呂遅いんだもん。寝ちゃった」

それに。と、今まで自分がくるまっていたシーツを引き寄せ、抱き締める。

「兄さんのニオイ、安心する」

クスクスと。
至極嬉しそうに、愉しそうに、妖艶に。
誘うように微笑むこの娘は、本当にセツ……最上さんだろうか。
疑うべき点などどこにも見当たらないし、完璧なまでに「セツ」であることは確かなのに、どこか違う。

抗えない糸に手繰られるように、存在に、魅了される。

ふと、いつか敦賀蓮のマネージャーである彼が言っていた事が唐突に過った。

『女の子は早いよぉ……大人になるの』

俺の知らない間に、成長しうる何かがあった?

「戻ってきて……よかったのか?」
「だって、兄さん一人じゃ何も出来ないでしょ?ちゃんとご飯食べてた?」
「それなりに」
「…………」
「…………」
「タバコやお酒は嗜好品であって主食のように摂るものじゃないのよ」

灰皿の上で山を築いている吸殻やテーブルから床にまで転がっているアルコールの空き缶をジト目で見ながら俺を咎める。
だって、仕方がないだろう。

「味がしないんだ」
「?」
「何を食べても、何を飲んでも、何も……」

生命維持のため義務的に最低限口にしてきたが、不思議と何の味もしなくなったのはいつだったか。
酒に酔えればと呷っても、アルコールの恩恵は一向に受けられなかった。
セツがいない。
その喪失感で、人間として欠陥が出るほど、カインを構成する一部になっていた。
じゃあ、セツは?

「かわいそうな兄さん」

フワリと体を寄せ、ジッと見つめてくる双眸が煌めく。
俺の頬へと伸ばされていた華奢な手を掴み、わざと強めに拘束すると、セツはそれすらも愉しそうに微笑んでみせた。

「お前は……俺がいなくても平気だったのか?」
「平気だったと思う?」

チリチリと躰の内側から焼けるような感覚。

「……俺のいない間に、お前に言い寄る男が現れたりしなかったか?」
「アタシが可愛いから心配だった?そんなの居ても、アタシには兄さんだけよ」
「お前が俺以外に心を傾けるような相手も?」
「……いる訳ないじゃない」
「本当に?」

俺は何を焦っているのか。自分でも情けないと思うのに、大人気なく問い詰める。

「あのね」

すると、溜め息を一つついたセツは、未だ自分の手を掴んだままの俺の手を引き寄せ、そのまま唇で「ちゅ」と吸い付いた。
更に角度を変えて今度は指先に。

薄く開いた小さな唇、濡れた感触に、ゾクリと、した。

唐突過ぎる行動に翻弄されたままの俺を見据え、セツはゆっくりと言葉を紡ぐ。

「……兄さんって一人じゃ何も出来ないでしょ。だから、もしアタシがいなくなっちゃったら、お世話する誰かが必要じゃない?」

ポツリポツリと想いを言葉にのせ、ありもしない「もしも」を語る。

「アタシじゃない誰かが兄さんの側にいる……想像するだけで、そいつを呪い殺したくなる」

その時セツの瞳に浮かんだのは、昏い、焔。

「誰かと紡ぐ幸せなんて、永遠に願ってあげない。それが罪だと言うのなら、喜んで地獄に堕ちてあげる」

だから、俺以外はいらないのだと。
明確に示されたのは、ずっと奥底に沈んでいた嫉妬と独占欲。

「わかった?アタシのかわいい兄さん」

真っ直ぐ過ぎる感情の吐露に、狂おしい歓喜と同時に襲う胸の痛み。

これが「俺」への言葉ならどんなに良いか。

わかってる。
俺はカインで、最上さんは雪花で、この部屋で崩れることのない絶対のルールの中にいる。
手を伸ばせば触れる事の出来る距離に彼女がいて、これ以上何を望む?

「他に……言うことは?」

俺がこう返すとは思ってなかったんだろう。
キョトン。音にするならこんな顔で目を瞬かせると、少しの逡巡ののち「あ。」と思い至ったのか、はにかみながら微笑んだ。

「ただいま」

「……遅い」

今はまだ、これでいい。

この小さな箱の舞台を生きよう。










―――――――――――――――――――――――――――――

ちょっとした後書き。

テーマとしては「恋するオンナノコは強いんだぞ」ってところを出そうとしたのに、とんだヘタ蓮が出来上がってしまいました。
甘くもないしオチもないっていう。。
どんどん綺麗になってくキョコに焦ればいいのに、という個人的な思いが詰め込まれてます←





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コメント

じゅじゅさんわっしょーい(∩´∀`)∩

こんばんはー!
(某所ではいつもお世話になっております^^)

この度は拙宅の連動企画にご参加くださりありがとうございます!
感無量でございますっ!

潤い不足でしょんぼりな兄さんへのサプライズ、なんて素敵!
兄さんの匂いに包まれて寝ちゃうセッちゃんが可愛すぎで(*´Д`*)
すりっとする猫っぽい感じを画像で想像して萌え萌えしました!
兄さん、よくそのまま襲わなかっ、ごほごほw

そしてキョコさんの胸の内の言葉をセツとして吐露する描写がなんともこう胸をキュッと鷲掴みにされます…っ!頑張った…っ!
いつか嫉妬や独占欲を恥じることなくキョーコとして伝える事ができたらいいなと(´;ω;`)←だって絶対敦賀氏は嬉しいはず…!そして受け止めてくれるはず!!

想い合う二人のひと場面を覗かせていただき、とっても幸せな気持ちになりました!
ありがとうございましたー!

Re: じゅじゅさんわっしょーい(∩´∀`)∩

えみりさんわっしょーい!(∩´∀`)∩

お返事が遅くなりまして申し訳ありません><
こちらこそいつもお世話になってます^^

先日の企画では運営お疲れ様でした&参加させて頂きありがとうございました!
待ち遠しいはずの本誌発売までの間に、たくさんの方の作品を拝見できる場を設けて頂き感謝感謝でございますv
おかげ様で、普段交流のない飴の方からも遊びに来てくださる方もいらっしゃいました(嬉)
拙作にも過分なお褒めのお言葉ありがとうございます><
猫っぽいセッちゃん……そうか、よく襲わなかったなぁうちの兄さん……!w
成長したキョコをもっと艶っぽくしたかったのに私の文章力ではいろいろ残念なことになりましたね。
キョコの言葉をセツに言わせてる辺り、蓮としてはカインに向けて言ってると思ってるけども
「貴方に言ってるんですよーーー凄い告白ですよーーー!」と傍観者目線で楽しんで書かせてもらいました。
お互い両片想いなんだから、早く素直になるといいですよねー。

改めて、楽しい企画ありがとうございました^^

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