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ソレは巡り巡って。

こんにちはー。

本誌が大変な展開になってますね!(いつの話って突っ込みはおいといて)
兄さんの殺人的な視線と振る舞いはそれはそれは泣いて良いレベルだと思うのですよ妹でも!
もはや兄さんってよりも中の人が駄々漏れです!
早く続き読みたいなー。

そんな中、本日は久しぶりの短編更新になります。
なんだかんだで進みも戻りもくっつきもしない話なのですが、きっと図解するとこんな感じ。

蓮→→→→→ ←キョ→→→

酷いw
実は最初考えてたのと着地点が変わりまして(最近もあったなこんな事)
ラブラブも好きだけど、これくらいの距離も結局好きっていう。

で。

どうぞ、の前にプチお知らせ。

私事なのですが。

事故りました。

orz

そこまで大事ではないのですが、割と歩行困難な程度にはなってまして。
心身の傷の回復のため、すこーーーしの間、更新が止まりそうです。
(え?いつもじゃないかって?スミマセッッ)

と、言うわけで、前置きが長くなりましたが、続きよりどうぞー。


















あの箱に。

幾重にも鍵をかけた。

決して出ないように、出さないように、厳重に。

けれど、あっけなく壊されてしまった。

あの人に。

溢れ出す想いは、自由になった想いは、その幸せを謳歌するかの如く華やかに宙を舞う。

だから私は、ソレを撃ち落とすの。

絶望の矢で、二度と空を飛べないよう。

そうして滴る血と涙を浴びた私は、一体何を望むのか。

唯一。

愚者にならないよう、願うだけ。









TBMの大道具倉庫。
少し埃っぽい閉鎖された空間に、私は今日の仕事の相棒との別れに来ていた。

「今日もお疲れ様」

コツンと、大きな頭に拳を当てる。場所で言うと、トサカの下の辺り。もし仮に彼が動けたとしたら、そのフワフワの羽でファサっと応じてくれたかもしれない。
でも、そんなのは不可能で。
『中身』の入っていない抜け殻の『坊』の顔をジッと見詰める。
思えば、テレビ初仕事からずっと一緒だった。時には私の独り言を聞いてもらって、その度に何故か坊の表情も変わって見えた。

「ねぇ……私は変わったかな……」

坊を最初に着た頃の私と。
愛に傷ついて、愛を憎んで、愛に怯えていたアノ頃。
全てを拒絶するように、演技に生きる道を、光を見出した。

そうして出会った、あの人。

ツキン……――――

あぁ、ほら。

チラとでも思い出すだけで針で全身を刺されたような痛みが走る。
呼吸が、不自然に浅くなり、じんわりと手が汗ばむ。
目の前の物言わぬ坊が、心配してくれている気がして、私は無理矢理笑顔を作った。
決して気付かれてはいけない。隠さなければいけない。忘れなければ。
でないと私は、この想いだけで死んでしまうかもしれない。
新しく、生まれ変わったはずの私が、死んでしまう。
他の誰でもない、愚者の私によって。

「はぁ……」

喉の奥に込み上げる熱い塊を、なんとか深呼吸でやり過ごし、軽く頭を振って目頭を強く押さえる。
そろそろ帰らなきゃ。

その時。
誰かの話し声が聞こえたかと思うと、扉が開いてこの倉庫に入ってきた。
私は何故だか咄嗟に、多く積まれた道具の後ろに身を隠す。
しまった、どうして隠れちゃったんだろう。
今から出るのは気まずいなと、影から入って来た人物を確認すると、どこかの番組の女性スタッフさんだった。
大きな道具を抱え、片付けに来たのだろう。一生懸命に働いている姿はとても好感が持てた。
その女性は、まだ扉の外に控えているらしいもう一人に声をかける。

「すみません敦賀さん、ありがとうございます」
「いえいえ、どう致しまして」

(え……)

心臓が、分かりやすい程ドキリと跳ねた。

「こんなの敦賀さんに持たせたって知られたら、私怒られちゃいますよ」
「いやいや、荷物を持つのは男の役目だから。それに、こんな大きな道具、一人じゃ無理だろう?もし仮に君が怒られるんだったら、俺も連帯責任だよ」
「ありがとうございます。じゃあ、私は残りを片付けますので、敦賀さんはお帰りになってくださいね。もう大丈夫ですから」

まだ仕事があるのだろうスタッフの女性は、パタパタと忙しそうにこの場を後にする。
その顔はほんのりと朱がかっている事から、あの人も当然のように敦賀さんにトキメイタんだと思う。

容姿端麗、性格温厚、キザな台詞を違和感も臆面もなく使いこなす天性のフェミニスト。

あまりにも完璧すぎて笑えてくる。おおよそ女性が厭う要素がないのだから。

誰にでも優しい敦賀さん。

ツキン――――


「あれ?君は……」

もうここに用はないはずの敦賀さんは、何かに気付いたように倉庫内に入ってきた。最初、私が見つかってしまったかと思ったけど、そうではなく、敦賀さんは目的に向かって一直線に長い足を進める。

「こんなところにいたのか。“中身”はいないみたいだね」

まるで旧知の友のように気さくに歩み寄ったのは、私がさっきまで話していた「坊」だった。

「君が静かだと変な感じだな。……って、着ぐるみに話しかけてる俺の方が変か」

敦賀さんは客観的に振り返って、自分がおかしな行動をとっていることに苦笑する。

「もし中身がいたら、なんて言うだろうね」

溜息を一つ零し、ほんの僅かな間をおいて、敦賀さんは周りに人がいないのを確認すると、やや逡巡した後ゆっくりと話し出した。

「……俺は、どうしたらいいかな」

きっと、誰にも聞かせるつもりのない本音。
空の「坊」にだからこそ吐露した、答えを求めない独白。
敦賀さんの顔色は伺えないのに、その絞り出すような声は、聞いている私の心が痛くなる程。
今すぐ出て行って「どうしたんですか?」と聞いてあげられたら良いのに。
ところが、直後に聞こえてきた言葉に私は思わず息を止めてしまう。

「君は“オトセ”って言ってたけど、そう簡単な相手でもないんだ」

(え……)

それは、敦賀さんの秘めたる恋のお話だった。

ズキン――――

よかった。
大事な人は作れないと、壊れそうに言っていた敦賀さんに、心の糧となるようなヒトが出来たんだ。

ズキン――――

よかった……。

「色恋事を目の敵にしている上、こちらの想いを歪曲して捕らえてしまってね」

その女性は敦賀さんの気持ちに全く気付いてないらしくて、「困った」と苦笑しているのに、敦賀さんからは相手への愛おしさが滲む。

敦賀さんなら大丈夫。
そんな想いを向けられて、好きにならない人はいないはずだから。

普段なら耳に心地良い敦賀さんの声が、今は、痛かった。
多分これは言い訳だけど、先輩の告白を過失とは言えこれ以上聞いてはいけないと、私は両手で耳を塞ごうとした。
ところが、その間をするりと抜けて入ってきた敦賀さんの言葉に手が止まる。

「俺の、御守りのような娘なんだ」

おまもり?
その単語にひっかかるものがあった。

「俺が闇に堕ちそうな時、いつも助けてくれた。妹役の時も、そうでない時も」

敦賀さんの好きな女性の話、なのに。

「復讐のために芸能界入りなんて、不愉快だと思っていたのに」

どうしてこうも、息が出来ないの?

「一生懸命なんだ。何事にも。そんなまっすぐな強さに、どんどん惹かれて、目が離せなくなって、気付けば俺の中で彼女の存在があり得ない程大きくなってた。時には、芝居の事すら忘れるくらい……」

だから気付けなかった。すぐ側の気配に。

「ねぇ、最上さん?」

「…………へ?」

私は、この時程驚いたことはなかったんじゃないかと思う。
小さくうずくまり、必死になって迫りくる嵐をやり過ごそうとしていたのに、そんな私の努力をまるっきり無視して降ってくる凶器。
今まで坊の前にいたはずの敦賀さんが、まるで瞬間移動したみたいに私の目の前に立っていた。
隠れていた大道具にもたれ掛かり、逃げ道を塞ぐように私を見下ろす敦賀さんの笑顔が怖かった。

「最上さん。俺はどうしたら良いかな」

さっき坊に向かって言った言葉を、今度は私に向ける。

「どどど、どう……?」

人間、突然の出来事には上手く思考が働かないようで、口から意味のある言葉が出てくれない。
ただでさえ縮めていた体をさらに小さくさせ怯えていた私へ、敦賀さんはキレイに弧を描いた口元の笑みを深くさせ、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

「振り向かせたい女性がいるんだ。どうすれば、好きになって貰えるかな?」
「え?え?」

隠れてたはずの私をあっさり見つけたりとか、それに対して何も触れてこないのとか、聞きたいことは色々あったのに、敦賀さんがあまりにも自然に話を進めるから逆に何も言えなくなってしまった。

「最上さんなら、どうされたい?」
「わ、たしは……」

危険だと。
頭では分かってるのに、どこまでも昏い敦賀さんの光彩が、私をあっけなく金縛りにする。
逃げなきゃ。
必死に、ここから離れる方法を探そうとしたその時。

ピリリリリリリリ――――

耳に飛び込んでくる電子音が庫内に響いた。

「あぁ、残念。時間切れだ」

音の出所は敦賀さんの胸ポケットの携帯電話で、ムームーと振動させながら着信を知らせるべく鳴り続ける。
私は心底ホッとした。これで話は終わるはずだと。
敦賀さんはすぐに携帯を開き、そのまま応対するのかと思いきや、笑顔で電源を落としてしまった。

「つ、敦賀さん?」
「最上さん、さっきのは宿題にしよう。次に会う時までに、『どうされたら好きになるか』を最上さんなりに考えて教えてね。協力、してくれる?」
「は、はい……」
「ん、よろしい。じゃあ、次に会えるのを楽しみにしてるよ」

あんな強制力のあるお願いをされて、否と言う勇気、私にはなかった。
なかば灰になりながら、踵を返した敦賀さんの背中を見送っていると、入り口近くで敦賀さんがピタリと足を止める。

「そうそう。そこにいる鶏の彼にも背中を押されたことがあってね」

鶏の彼とは、坊のことだろう。
クルリと振り返った敦賀さんは、それはそれは女性なら誰もが卒倒しそうな煌きスマイルで私に重い一撃をくれる。

「逃がさないから、そのつもりで」



ガラガラと、何かが崩れる音がした。



敦賀さんが行った後、抜けてしまった全身の力がようやく戻ってきて。。
私はよろよろと這い出して、なんとか辿り着いた坊にポフリと顔を埋めながら、力なく呟く。

「自分で自分の首……絞めてる……?」




いくら封じ込めようとしても。

いくら撃ち落としても。

その血と涙も糧として育つ厄介な感情。

まだ私は、みっともなく足掻いてはいるけれど。


『いい加減素直になれよ』


なんて、キューピッド紛いの鶏から言われた気がした。









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コメント

No title

事故って大丈夫ですか?お大事に!
。。。で、でも。。。更新は首を長くして待ってます!


Re: すごく胸キュンしました。

マリモ様

はじめまして、珠々です。
初めてコメントくださったのに、お返事が遅れに遅れて申し訳ありません。
今までもお越しいただいていたようでありがとうございます^^

> このお話、両片想いのはずなのに
そうですね!まさに「両片想い」の言葉がピッタリですね!
本誌でもそうですが、確かにキョコは自覚したとしても逃げるでしょうねー。
そこを何とか敦賀さんには捕まえていただきたい(笑)

>笑いが抑えられなく
おお、笑っていただけて何よりですv
続き…はどうなるんでしょう?(ぇ)
逃げるキョーコと追いかける蓮の攻防になりそうですが、キョコも結局は蓮が好きになってるはずなので
きっと遅かれ早かれ結末は同じかと(笑)

ではでは、本当に遅いお返事なってしまいましたが、今後もお手すきの際には
お立ち寄りいただけると嬉しいです^^

Re: No title

ゆうこ様

お返事が遅くなってしまい申し訳ありません!
事故についてご心配のお言葉ありがとうございました。
まだ痛みはあるものの、別段日常生活に全く問題はないくらい回復はしました!

更新についても、近々再開する予定なので、お暇な時にでもまた
覗いてやってください^^

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