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正しい召喚のススメ 3

ひっっっっっさしぶりのお話になります。

続きを書くにあたって、過去作品を読み直したんですが、まぁ酷い!
直したいとこだらけなのですが、それは流石に体力的に難しいので、若干の訂正を入れる程度に留まってしまいました。
ご無沙汰すぎてこっ恥ずかしいことこの上ないのですが、ここは勢いでいくしかないと思います。

ある程度終わりまで書いたら上げようと思ったのですが、まだ全然終わりそうにないので ←
とりあえず、出来ている所までをちょっとずつ更新しようかと。
(て言っても数話分とか)

需要があるかは分からないんですが、何故かこの話の続きが気になるという方(菩薩!)がちらほらいらっしゃったので、ドキドキしながら上げてみます。








夢を見た。
黒い犬がいる。
少し離れた所に、小さな小さな黒い犬。
瞬きをする度に近付き、気付いたらその犬は自分の背丈よりも遥かに大きくなっていた。
暗い焔よりも禍々しい、血のような眼はギラリと光り、獰猛な笑みを浮かべ何かを告げる。
開いた口からは狂喜に滲む鋭い牙が見え。

そして私は喰べられる。




朝の光の中、キョーコは3人分の朝食を用意してテーブルに並べる。
若干体がダルいのは、昨日の『生け贄』の代償かもと思うと恥ずかしいやら情けないやらで、まともに顔を上げられなかった。
あまりにも現実離れした先日の出来事に、あれは夢だったのかな、と半ばほっとしていると、キョーコの寝起きを図ったように社が再びやってきたというわけだ。
そうして否が応にも自分の身に起きたことは現実だと思い知らされる。
僅かに残る昨夜の記憶では、確か自分は気を失うようにテーブルに臥せってしまったはずなのに、目が覚めるとベッドの中で、キチンとパジャマを着ていた。もちろん、蓮か社のどちらかが手ずから着替えさせた訳じゃないのだとは思う。魔法か何かで簡単に済ませてしまったのだろう。あくまでキョーコの願望だったが、むしろ、そうでないと困る。
しかし、それをわざわざ確認するのも怖いので、制服に着替えて気にしないことにした。
現在、椅子に座っているのは社とキョーコの二人だけ。蓮はというと、キョーコが起きる前からどこかへ行っているようだった。

コトリ、とお皿を並べて何気なく視線を落とすと、左手の甲に不可思議な紋様がうっすらと浮かんでいる。
複雑怪奇に見えるソレは、遠目にすると薔薇のような縁取りにも思え、今は灰色よりも薄いぼんやりとした光を放っていた。
社曰く、これが契約の証なんだという。
蓮以外の悪魔が近くに寄れば、たちまち契約の証が警告となり強く浮かび上がるらしい。
それによって、滅多なことでは契約者であるキョーコに言い寄る悪魔はいなくなるそうだ。そもそも、今まで生きてきて悪魔なんかにお目にかかったのは初めてなのだから 、それはいらぬ心配なんじゃないかと思ったものの、刻んだ本人がいないのではどうにもならない。
それによく考えたら、昨日は録に話も出来ないまま気を失ってしまい、分からないことだらけなのだ。この際、色々聞いてしまおうとキョーコは立会人である社に向き直る。

「社さん」
「ん?」

並べられた朝食を感心したように眺めていた社は、キョーコからの真剣な声に柔らかい眼差しを向けた。

「あの……私はこれからどうなるんでしょうか」
「どうなる?」
「はい……。あの、敦賀さんを喚んでしまったのは間違い、だったんです……。スミマセン」

素直に頭を下げ申し訳ない気持ちを伝えると、キョーコは尚も話を続ける。

「それでも、魔の方を喚びだしてしまったのは私です。き、昨日はうっかりお願い事を言ってしまったんですが……このままお帰り頂くわけにはいきませんか?」
「そうだねぇ。ちなみに、キョーコちゃんはどんな間違いで蓮を喚んじゃったのかな?」

帰還について具体的には触れることなく、キョーコへ逆に質問する社。責めるわけでもなく、警戒させるでもなく、安心させるよう人の良い笑顔を浮かべ、話しやすいような空気を作ってくれる。一瞬、キョーコは社も悪魔と言うことを忘れる所だった。それとも、人の心にするりと滑り込むこの雰囲気こそ、既に嘘は許されぬ術中に嵌っているのかもしれない。

ともすれば、その答え如何で対応が変わってくるということだろうか。
あれこれ考えてはみても、物事を偽ることが苦手なキョーコは結局正直に話すことにした。

「じ、実は……妖精さんを召喚したかったんです」
「妖精?」
「はい。術式も魔方陣も妖精用のものだったのに、何を間違えたのか敦賀さんが出てきてしまって」
「それはまた……不思議だね」
「そうなんです……」

不思議。やっぱり悪魔側から見ても不思議なことが起こってしまったのかと、キョーコは頭を抱える。思わず俯いてしまった顔をあげると、眼鏡の奥で何か言いたげな社と目があった。
社としても、何か迷っているようではあったが、不承不承ながらも話してくれるらしく、溜め息をつきながら目を伏せ口を開く。

「うーん……蓮はさ、見て分かるかもしれないけど『魔界一抱かれたい男NO.1』に輝いてるくらいでさ」
「……随分浮かれたランキングがあるんですね」
「あはは、そうだね。でもイコール、魔力の指標ともなるんだよ」
「え?」
「今のを言い換えると『魔王候補ランキング』。うちは完全実力社会でね。どんなに嫌な奴でも、強ければ従うしかないんだ。で、一番強い奴が魔王になれる。蓮はその魔王候補NO.1ってとこかな」
「ま、魔王候補……ですか」
「そう、候補。現魔王サマはまだまだ健在でね。このランキング制度を施行し出したのもあの人なんだ」

突拍子もないことやるんだよねーと半ば諦めたように笑う社に、キョーコはあまり深く考えずに応える。

「そうなんですか。でも、なんだかランキングで実力が分かるなんて平和的ですね~」
「本当にそう思う?」
「?」

社は曖昧な笑顔を浮かべると、それ以上の説明はすることなくキョーコの淹れてくれたコーヒーを口にした。
カフェインの効果が果たして悪魔にも効くのかしらとぼんやり思っていると、「そういえば」と何かを思い出したように社からガシっと肩を掴まれた。

「ななな、何ですか?」

突然のスキンシップに、身体を硬直させてキョーコは目を瞬く。その間も、社はじーっとキョーコを凝視しており、その居たたまれなさといったら半端無かった。

「うーん……どうしてかなー」
「だから何がですかーーー!?」
「あぁ、ごめんごめん」

キョーコの絶叫で、ハッとしたように両手を上げ申し訳なさそうに眉尻を下げる社だったが、一体全体何のつもりなのかと、恨めしげな目だけでキョーコは理由を尋ねる。

「あのねキョーコちゃん。さっきも言ったら通り、蓮は魔王候補なんだ。魔力保有量も、俺なんかじゃ足元にも及ばない。その蓮を召喚しようと思ったら、並大抵の魔術師じゃ100年かかったって髪の毛一本すら喚び出せない。こっちの世界の大魔術師が束になったって、召喚どころか使役、従属なんて夢のまた夢なんだよ」
「はぁ……」

なんだか話の流れというか、蓮についての話の次元が違いすぎて 、まるで他人事のように気の抜けた相槌を打つに留まったキョーコ。それに申し訳なさそうな笑顔を絶やさず、社は続ける。

「ところがキョーコちゃんは、本来なら妖精用で用意していた術式で、喚べるはずのない悪魔を、所謂不調和な状態で、しかもあの蓮を召喚しちゃったんだよ。従属まで付加してね」

どうやら自分はとんでもないことをやらかしたんじゃないかと思い始めた時、再び社はキョーコの左手を掬い、淡く光る契約証を見つめた。

「だから、実はキョーコちゃんには膨大な魔力が秘められてるんじゃないかと思ってたんけど……」

社は単純に、キョーコが蓮を喚び出すに到った材料を探ろうとしていたのだが、その時、底冷えするような冷気が浴びせられる。

「社さん……俺の主人にどんな御用があって触れてるんです?」

たった今まで外にいたであろう蓮が、気配もさせずドアの内側に立っていた。
全身から息が詰まるような威圧感が発せられ、その艶然とした笑みには無条件で謝りたくなる恐怖があった。
どうやらお怒りのご様子。何でこんなに蓮が不機嫌なのかキョーコにはサッパリだったが、社が慌てて手を離し「違うんだ!」と必死に蓮に言い募っている。

ひとまず、キョーコはこちらを確認して破顔してくれた蓮へ出迎えの挨拶へと向かった。

「敦賀さん、おかえりなさい。それと、おはようございます。こんな早くにどこへ行ってたんですか?」
「うん、ただいま。ちょっと掃除にね」
「掃除?」

キョーコは首を傾げる。掃除といっても、周りは木で囲まれた森だけのはず。何を掃除するというのだろう。
すると先ほどよりも、幾分か声のトーンを落とした社が、溜め息と共に頭を抑える。

「早速客でも来たんだろ」
「……ご名答。招かれざる客は早々にお帰り願いましたがね」

蓮は事も無げに言い放ったが、その顔にはうんざりといった少しの疲労があった。
掃除とお客さんと、一体なんの関係が?
キョーコの頭には更に「?」が飛び交うが、目の前の二人の雰囲気から、決して軽い話ではないのだろうと察することが出来る。

「お客さんがいらしてたんですか?」
「あー…キョーコちゃん。正しくはお客さんなんて和やかなものじゃなくてね」

恐る恐る伺うように、会話にあがっている「お客さん」について聞いたキョーコ。それに対し、社はやはり面倒見が良いのだろう、至極丁寧に教えてくれた。

一度言葉を切って、一瞬だけ迷ったものの、それでもズバリと核心を告げる。

「蓮の命を狙った物騒な輩ってとこかな」

さらりと言われた言葉に頭がついていかなかった。

「い、命!?」

キョーコは声を上擦らせながら、少し高い位置にある蓮の顔を見上げる。すると、こちらを見つめていた蓮と目が合い、それだけで嬉しいとばかりにふんわりと微笑まれた。
危険な話の当事者であるはずなのに、あまりに緊迫感がない。
キョーコの混乱を当然のように受け流しながら、社はテーブルの席へ着くよう促す。腰を据えて話したいのもあったが、折角キョーコが用意してくれた朝食を無駄にしないためでもあった。





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