アンソロサンプル

新年最初のまともな更新になります。

いや、まともって程じゃないかもですが。

ちょっと仕事が修羅場ってまして、ダイブ体力の限界に近付いております。
(主に眼精疲労と腱鞘炎)
スマホのトラブルにも見舞われ、執筆が遅々としておりますが細々と書きためてます~。
いや、もうほんと、社さん並にケータイクラッシャーじゃないかと思うほど昨年からケータイに嫌われてます。
なぜか私が使うと原因不明の不具合が起きるという不思議!
無理くりフラッシュとかやってるせいかもしれませんが・・・(自業自得?)

と、いうわけで。

今回の更新は参加させていただいたアンソロのサンプルになります。

もう既にゲットされている方もいらっしゃると思いますが、そうでない方へ参考までに。
短いですが、こんな感じだよーと。
遅いよって声が聞こえそうですが、そこはそれでよしなにで!

拍手のお返事も近いうちに必ずしますので~~~!


では、続きよりどうぞ。









愛しい嘘を貴方に捧ぐ







敦賀さん。
男性から好きになってもらうにはどうすればいいでしょうか?




 ザワザワザワ……。
 雑音に等しい談笑による賑わいが、明るさを抑えられた室内に響く。
 煌びやかな装飾品が静かに鎮座し、重厚な造りから格式の高さが伺える、まさに芸能人御用達の社交場といったところか。現在貸しきられた店内では、今クールで高視聴率を獲得したドラマの役者及び撮影スタッフが豪華な宴を開いていた。
 所謂、打ち上げである。
 賑わいから少し離れたカウンター席に、敦賀蓮は座っていた。間接照明で鈍く光るショットグラスを軽く持ち上げると、蓮は躊躇いなくその琥珀色の中身を呷る。
「お疲れ、蓮」
「社さん。お疲れ様です」
「お前がこんな隅っこにいて良いのか?」
「つい先程まであそこにいましたよ。それに俺なんかより、もて囃されるべき方がいらっしゃるでしょう」
 蓮はそう言うと、部屋の中心で既に出来上がっている大御所俳優に目を向けた。社もつられてそちらを見ると、酒癖が悪いのか周りにいる共演者やスタッフは困ったように相手をしている。
 そこで社は、担当俳優に違和感を覚えた。
「蓮?」
 普段温厚で知られる蓮の、どうにも棘のある言い方が気になった。
「何ですか」
「お前……酔ってるだろ?」
「残念ながら、たったこれだけで酔える体に出来てないんです」
 溜め息一つで苦笑を漏らした蓮。酒の所為ではないとなると、いよいよ様子がオカシイ。社は蓮の隣に座り、思い切って話を切り出す。
「何かあったのか?」
 具体的に根掘り葉掘りではなく、短く、蓮に話す意図があれば良しといった社なりの絶妙な距離感だった。それに対し、蓮は社を見ないまま俯いて話し出す。
「あったと言えばあったんでしょうね。いや、何もなかったのかな」
 まるで自分に言い聞かせるような、自嘲めいた笑みとともに蓮は目を伏せた。
「最上さんに聞かれたんです。男性から好きになってもらうにはどうすれば良いかって」
 一瞬、周りの喧騒が聞こえなくなる程の衝撃発言だった。
「それは……」
「そう思ってもらいたい相手がいるのか。よしんば、特定の相手がいないのだとしても、俺の気持ちには微塵も気付いてないってことです」
「なんで断言出来るんだ? もしかしたら、蓮へのアピールかもしれないだろ」
「あの最上さんが、そんな駆け引きめいたこと出来ると思いますか?」
 蓮はカウンターに肘を付き、片手で目元を隠すように頭を預ける。
 答えは言わずもがなだ。恋愛の「れ」の字も拒否してきたキョーコに、そんな芸当出来るはずもない。社は、ダークオーラを纏い出した蓮にかける言葉を必死に探す。蓮のため、何より自分のためにも。
「……でも待てよ。それって、キョーコちゃんが男を意識し出したってことじゃないか!?」
 これまで直球で投げてもフルスイングで空振ってきたキョーコが、男から好きになってもらおうとしている。
 人類の進化並の成長を遂げているのではないか。
「蓮、イケる!」
「な、何がですか?」
「キョーコちゃん、人並みの感情を取り戻しかけてるってことだろう!? どこぞの馬の骨に盗られる前に、お前の手練手管駆使してオトせ!」

――国が認める立派なレディだ! 落とせ!――

社の気迫に押されながら蓮は、友人である鶏に言われたことを思い出していた。あのマヌケな姿形を思い出すと、不思議と気持ちが上向いてくる。
「あの最上さんが一筋縄でいくとは思いませんが、前向きに考えますよ」
「そうか! ついにお前もヘタレ脱却だな」
「酷い言われようですね……」
「だってそうだろう。キョーコちゃんの衝撃発言を聞いておきながら、どーせその場で何も言えなかったんだろ」
 まるでその場にいたかのような口ぶりの社に、少しばかりの反論と言う名の言い訳を憮然と言い放つ恋愛初心者。
「すぐに、やっぱり忘れてください、なんて言われて逃げられたんですよ」
「ほー?」
(こうして見ると年相応なんだけどなー……って、あれ?)
 社は、どうやって蓮で遊んでやろうか、もとい、アドバイスしてやろうかと思案を始めたと同時に、ポケットにいれていた自分の携帯電話が着信していることに気付いた。
「悪い、電話だ。話の続きはまた後でな」
 結構ですと断りそうな蓮の雰囲気を笑顔で制し、電話に出るべく席を立つ。素早く手袋をはめ、携帯のディスプレイを確認すると、社は居住まいを正し応答ボタンを押した。
「……え? 今からですか?」
 打ち上げで終わるはずだった一日は、まだ続きそうだった。




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